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Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜5話うp ( No.19 )
日時: 2010/01/22 16:39
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

6話   『ティム・シャロン』

四国 高知県

瞬間移動で東京から高知まで飛んできた優太たち。
5人は閑散とした住宅街をトボトボと歩いていた。
「アレック達は、普段どこで生活してるんだ?」
「俺らはさっきみたいに、襲われるのを避けながら日本各地を転々としてんだ。」
アレックはそう言うと、目を輝かせていきなり走り始めた。
「ボス!!」
アレックが向かう先には、黒い十字架が書かれた白い仮面をしている人物がいた。
「あの方が、俺らのボス、ティム・シャロンさんだ。」
ニックスはそう言うと、ティムの方へ向かった。
優太もティムに近づく。
ティムは仮面に黒いコート、確かに性別年齢は分からない。
「キミガ、カミミヤユウタダネ?」
ティムの声は変声機で不気味な声を発している。
「あぁ。ところで、なんで俺を脱獄させた?」
「キミノ、チカラガイルンダ。キョウリョクシテクレ。」
ティムは片手を出し、握手を求めた。
「協力してほしいなら、仮面を外せ。」
その言葉に、アレック達の表情が変わる。
全員の視線がティムの仮面に向いた。
「・・・・イイダロウ。ドウセ、モウキヅイテイルンデショ?」
ティムはそう言うと、仮面に手をかけ、ゆっくりと外した。
「ヒサシブリダネ、優太・・・・」
仮面の下は、顔つきの良い女性だった。
アレック達は口をポカンとあけ、優太はにっこりと笑った。
「七海・・・・なのか・・・?」
「そうよ。優太・・・優太ぁぁぁあ!!!!!」
七海は仮面を地面に落とし、優太に抱きつく。
優太も涙をこぼし、七海を抱きしめた。
「なんで!!あの時死んだと思ったんだ!!」
「うっ、うっ・・・。私、あの時能力で逃げれたんだ・・・。だけど、速や岩野を助けられなかった・・・」
優太は‘岩野’という言葉を聞いて顔色を変えた。
「七海、岩野は政府に寝返った。自分の命惜しさに。」
七海はその言葉を開くと驚き、優太の顔を見る。
「嘘よ・・・」
「本当だ。確認している。月光人と夢界人が昔、死ぬ間際に教えてくれたんだ。」
七海はその場に崩れ落ちる。
「ボス!!」
アレック、エイミー、ニックスが七海に駆け寄る。
「ボス・・・本名は・・・・」
ニックスが悲しそうな顔で尋ねる。
「私は、高橋七海って言うんだ。ごめんね。事情があって言えなかったの・・・」
「・・・いえ!!我々の命を救ってくれたのには変わりはありません。一生ついていきますよ!!」
ニックスがそう言うと、アレックとエイミーも笑顔で微笑む。
「ありがとう。ところで、鈴香ちゃんは・・・?」
「え?」
優太たちはその言葉を聞いて辺りを見渡す。
そういえば、七海と再会してから鈴香の姿が見当たらない。

「ふふっ・・・あんたたちも、所詮人間ね」

鈴香の声がどこからか聞こえる。
全員は目の前にあった2階建ての家の屋根を見る。
そこには、両脇にサングラスをかけた男二人に挟まれた鈴香がいた。
「鈴香!?どういうことだ!?」
「私は政府の人間よ。あの時、マンションに自衛隊を呼んだのもわ・た・し。」
鈴香はニヤリと笑う。
「お前!!ボスに命を助けてもらったのに!!裏切る気か!!」
ニックスが大声で叫ぶ。
「はぁ?あれは芝居よ。私がそう簡単にくたばるかっての!!」
「貴様ぁぁぁ!!殺してやるわ!!!」
ニックスは叫びながら2階建ての家にパンチした。
その瞬間、その家は一瞬で轟音をたてて崩れた。

ドゴォォォォォォォン!!!!!!

「怪力・・・少々めんどうね・・・」
二人の男と鈴香は空中に舞う。
「また近いうちに・・・会おうね・・・・」
鈴香はそう言うと、一人の男が手から黒いボックスを出す。
「ブラックシステム」
男がそう言うと、黒い箱に小さな穴があき、3人を吸いこんだ。
「待て!!」
ニックスが叫んだときに、黒い箱だけが空中に浮いていた。
箱は黒い煙になり、3人はどこかへと姿を消した。