ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜アビリティワールド〜こっちが本物 ( No.2 )
日時: 2010/01/18 17:04
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

2話    『T,N』

暗黒歴17年 2035年

相変わらず、今日の日本も暗雲の下でひっそりと時を過ごしていた。
東京以外の都道府県は壊滅状態、九州に至っては東京から通信もできない。
しかし、そうは言っても東京は平和ではない。
東京のシンボル、東京タワーは住宅街に派手に倒れたまま。
レインボーブリッジは中心から破壊され、橋の中心はなにもない。
どの被害も、能力者が戦った痕跡だ。
能力者ではない一般市民は海外へ逃げ、残った能力者は懸命に闘った。
能力者VS政府という、前代未聞の大バトル。
無論、すべての人間は政府が正義だと思っている。
だが、この戦いの裏にはあることが隠されている。
それはとても複雑で、悲しくつらいものであった。

**********

“超能力者隔離塔 Aー2017 日本支部”

‘ペンタゴン 20階 特別超能力者隔離フロア’の奥の部屋に収監されている男、神宮優太。
現在31歳。‘元’能力者である。
彼は政府と戦った能力者の一人。
彼自身は正義のために戦ったはずだが、今の世界では悪者とみられている。
それも無理はない。
彼の犯した罪は公に公開されたのだ。

‘ローラックス刑務所崩壊の主犯’
‘ラットイスケイプ刑務所での初脱獄者’
‘政府に反抗した10人の一人’

彼には数々の汚名が着せられた。
そんな優太は、最愛の友をなくし、仲間も大半失った。
優太は今日も、ベットに寝転がり何もない天井を見つめている。
「神宮!!おまえに面会だ!!」
突然、ドアから聞こえた看守の声。
「なに・・・?」
優太はベットからとび起き、看守に言い返した。
「俺のことを知っている仲間は死んだ。面会なんてありえない。」
「いいから来い!!」
看守の声に優太はため息をつき、静かにドアへ近づく。
手錠に足枷をされ、前後に看守二人をつけられる。
優太の服装は全身黒のジャージ。
優太はそのまま、地上へと向かったのだった。

**********

1階 面会室

優太は面会室に着くと、防弾ガラスの向こうに謎の女の子が座っているのが見えた。
ショートヘアーで顔つきがよく、白いパーカーに青いジャージというボーイッシュな服装だ。
「誰だ?」
優太はそう言いながら女の子の前に座る。
年齢は20後半。大学生か?
優太はそんなことを思いながら女の子を見ている。
「あなたが、神宮優太さんですか?」
「あぁ。おまえは誰だ?」
女の子はその言葉で持っていたバックからとある紙切れを取り出した。
「私は、ある人からあなたへの伝言をもらってきてます。」
女の子はそういうと、紙切れを優太の目の前に置く。
「口ではいえません。これを読んでください。」
優太はそう言われ、紙切れに書かれていることを読んだ。

「神宮優太さんへ。今から書かれていることを行ってください。まず、自分の収監されている部屋に戻ったら、看守を倒してフロアにある赤いドアに入ってください。そうすれば、あなたに希望の光が見えるでしょう。   T,Nより」

優太は紙切れから女の子に視線を向けた。
女の子は頷く。
「保証できるんだろうな?」
「もちろん、これを書いた人からも信じろと。」
優太はその言葉を聞いてニヤリと笑った。
「わかった。ここの生活が退屈だったんだ。」
優太はそういうと、立ち上がり戻ろうとした。
その時、あることを思い出した。
「そういえば、名前は?」
「私は早見鈴香。それじゃ。」
2人は背を向け、その場を後にした。
そして、優太は作戦を実行しようとしていた。