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Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜7話うp ( No.24 )
日時: 2010/01/23 23:59
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

8話   『ペンタゴン攻撃』

優太、七海、エイミー、アレック、ニックスはペンタゴン前の建物の屋上にいた。
「マジでやるのか・・・」
「えぇ。仲間を増やす時が来たわ。」
七海は全員の方向を見る。
「準備はいい?」
「俺はいいぜ。」
「私も。」
「お、俺もいいよ。」
七海は最後に優太の方を見る。
「やろう。死んでいった仲間たちのためだ。」
「そうね。」
全員がペンタゴンの方を向いた。
その時だった。

ボォォオォォォォォォン!!!!!!!!!

ペンタゴンの最上階がものすごい轟音をあげて大爆発した。
「な!?」
優太たちのいた建物が爆風と轟音で揺れる。
「ボス!?これは一体!!」
「わからない!!なんで!?」
最上階は炎に包まれ、看守の悲鳴や受刑者の叫び声が聞こえる。
5人には何が起こったのかサッパリだった。
「何が・・・起こってんだよ・・・・」
優太は唖然と、燃え盛る最上階を見つめていた。

**********

ペンタゴン 最上階

炎に包まれた40階には、すでに悲惨な光景になっていた。
「天地人!!どうなっている!?」
工藤は炎に包まれた廊下で叫ぶ。
前には天地人と創造人が何者かと戦っている。
「おい!!聞こえるか!!」
「それどころじゃない!!ヘリであんたは逃げろ!!」
「ヘリポートはもうない!!ここは最上階だぞ!!」
工藤は叫ぶ。
天地人は後ろに下がり、創造人は工藤に駆け寄る。
その時、曲がり角から黒いコートに髪が真っ赤の男が現れた。
右耳にはピアスをし、左目の下には黒い星のタトゥーがある。
「ペンタゴンォォーン!!襲来成功ぉぉぉぉ!!!」
男は叫びながら天地人たちに近づく。
「何者だ!!答えろ!!」
「あん?そうだな・・・。あえて言うなら・・・」

‘サーカス団♪’

男のその言葉に、天地人は呆然とした。
「ふざけるなぁぁぁあ!!!」
天地人は男に向かって走ろうとした。
が、その瞬間に男の姿が炎の中に消えた。
「無駄無駄。あんたなんかに俺が捕まるかよ。」
男はいつの間にか天地人の後ろにいた。
天地人は慌てて後ろを振り向く。
「能力者か・・・・」
「消えな。」
男は片手を天地人の方に向ける。

‘ファイヤーバースト’

男の手に炎の球ができ、その球が天地人とその後ろの廊下を飲み込んだ。
「な!!」
天地人は炎の中に一瞬で消える。
「天地人!!」
「次はあんただ。」
創造人の後ろに、男はいつの間にか回り込む。
「政府の十戒衆?所詮は弱いゴミだね。」
男は創造人にそう言うと、片手を出した。
「あばよ。」
「くそがっ!!」
創造人は最後に何かを言おうとしたが、炎の中に消え去った。
残った工藤は恐怖で後ろに下がる。
しかし、後ろには逃げ場がない。
東京の街が見渡せるほどの高さだ。落ちれば即死だ。
「た、頼む。助けてくれ。」
「え〜ぇ。でもまぁ、手伝ってくれるなら生かしおいてもいいかな。」
男はそう言うと、工藤の首をつかむ。
「あ・・・が・・・・・」
「ここの受刑者の中に、バーカス・レッドフィールドがいるはずだ。」
男の発した名前に、工藤の目つきが変わる。
「そいつは・・・地下にいる・・・。頼む・・・手を放してくれ・・・・」
「何階だ?」
「最下層・・・。神宮優・・・太の収監され・・ていた・・・牢屋の・・・・隣・・・・・」
男はその言葉を聞くと、にっこりと笑った。
「そうか。ありがとう。手は放してやる。」
そう言い放つと、工藤を外へと投げ捨てた。
工藤は悲鳴もなにもあげず、涙をこぼして落下していった。
男は携帯を取り出し、誰かに連絡を取り始める。

プルルル♪プルルル♪

『こちら、ペイン・メラーズ。彼は最下層にいるそうです。今から、シーカー団長の応援に向かいます』

ペインは携帯の電源を切り、炎の中へと姿を消した。

**********

ペンタゴン 正面玄関

次々と出てくる看守に、太陽人は唖然としていた。
「な、何があったんだ!!」
太陽人が一人の看守をつかみ、わけを聞く。
「さ、最上階で爆発があった!!そのせいで!!受刑者が暴動起こしてる!!もう上はだめだ!!」
看守は泣きながらどこかへ走り去った。
「天地人・・・・」
太陽人がそうつぶやいたその時だった。

ズドン!!

鈍い音と嫌な音をたてて、上から何かが降ってきた。
看守たちは自分たちのことで精一杯らしく、それに気がついてはいない。
太陽人が看守を掻き分け行ってみると、そこには足と手が変な方に曲がっている工藤がいた。
「おい!!署長さん!!」
「う・・・・あ・・・・・」
工藤は少し呻ると、静かに目を閉じた。
「な、何があってんだ・・・・」
太陽人は異変を調べるため、ペンタゴンの中へと進んでいった。

**********

一方 ペンタゴン前の建物 屋上

5人は上からペンタゴンの様子を伺っていた。
「七海、どうする?」
「今は危ない・・・状況が分からない・・・。」
七海は呆然と燃え盛るペンタゴンを見つめている。
「今は、様子を見ましょう。」
七海の意見には、誰も反抗しなかった。
そして、物語は新たな幕を開けようとしていた。


再び、新たな敵が、優太たちの前に現れようとしていた。