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Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜8話うp ( No.29 )
日時: 2010/01/24 20:41
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

9話 『バーカス・ファイヤーサーカス団』

ペンタゴン 最下層

ペインは前に優太が収監されていたフロアにいた。
フロアは不気味なほど静まり返っている。
この階は、世間に名の知れている犯罪者が収監される場所。
終身刑確定の史上最悪のフロアだ。
しかし、もうすぐその歴史も崩れようとしていた。
ペインはフロアの奥まで足を進めると、5つある牢屋をじっくりと見る。
ちょうど真ん中は優太の収監されていた牢屋。
「この隣か。」
両脇を見ると、ドアに受刑者の名前が書かれていた。
‘バーカス・レッドフィールド’
‘ゼノン・ニキフォロス’
ペインは左のドアに右手を向ける。
「溶けろ。」
ペインの右手から炎が噴射し、ドアを一瞬で溶かした。
すると、牢屋から一人の30代後半の男が出てきた。
「ペイン。よくやった。」
「バーカス団長。お久しぶりですね。」
ペインは笑顔で頭を下げる。
「シーカーはちゃんとしてくれたか。」
「はい、副団長はあなたが捕まっていた間団長として働いてくれていました。」
バーカスはその言葉を聞くと、周りを見渡す。
「ほかの団員は?シーカーはどこだ。」
「先ほど会った時、逃げる用意をしておくと言って上に行きました。」
ペインはそう言うと、ほかの牢屋を見る。
「このフロア、ほかのフロアの受刑者と違い、やけに静かですね。」
バーカスはペインを見てニヤリと笑う。
「ペイン、本当の悪者はな、静かで冷酷なんだ。騒いでいる馬鹿どもは悪ではない。」
バーカスはそう言うと、ペインとともに上を目指した。

**********

ペンタゴン 正面玄関

‘Barcas Circus’と色鮮やかなペイントで塗られた大型トラック。
そんな大型トラックが正面玄関の前に止まっていた。
「プライム!!逃げる用意はいいか!!」
トラックの外でシーカー・レッドフィールドは運転席にいる男に叫ぶ。
プライム・アイアンは指でOKのサインを出す。
「よし。団長が帰還する。ほかの団員に集合をかけろ。」
シーカーの隣にいるハースト・アイアンは無線でほかの団員に集合を命じる。
アイアン兄妹はサーカス団の中で‘アイアンズ’という名前でショーに出ている。
二人は口から火を吐ける能力を持っている。
二人のコンビネーションはサーカス団一のものだ。
しばらくすると、シーカーの前には10人ほどの団員が集まっていた。
「ハースト、全員集まったか?」
「後は団長とメラーズさんだけです。」
シーカーはその言葉を聞くと、一息ついた。
と、同時に玄関から二人の姿が出てきた。

「団長に敬礼!!」

シーカーの言葉とともに、全員が自衛隊のように並んで敬礼をした。
「お迎えありがとう。まずはここから逃げよう。」
バーカスがそう言うと、団員はトラックの荷台へ。
バーカスは助手席に乗り、運転はプライムだった。
そして、燃え盛るペンタゴンを後に、サーカス団を乗せたトラックは発進した。

**********

トラックが行って数分後、優太達はペンタゴンの前にいた。
「どうする?一応行く?」
優太が隣にいる七海に質問する。
誰もしゃべらないときは、燃え盛る炎の音しかしない。
「そうね。今の方が防御も手薄だし、今行きましょう。」
七海はそう言うと、ペンタゴンの中に足を踏み入れた。
優太たちも七海の後を追うようにして、ペンタゴンのンの中へと入った。