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Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜9話うp ( No.31 )
日時: 2010/01/27 16:33
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

10話  『新たな幕開け』

アメリカ ホワイトハウス

日本と違い、晴天に恵まれたアメリカは活気にあふれていた。
ホワイトハウスの大統領室では、ノアがデスクでパソコンを使って仕事をしていた。
「明日がブラジルの総統と話し合いか・・・」
ノアがブツブツと言っているその時だった。

「大統領!!大変です!!」

スーツを着た男性がドアを開けてノアの前まで走ってきた。
「なに?うるさいよ、仕事中なんだよ。」
「そ、それが、ペンタゴン日本支部が先ほど、壊滅しました・・・」
男の言葉を聞いて、ノアの顔色が変わる。
「なに!?」
「現地に行った天地人、太陽人、創造人、星風人との連絡は途絶え、衛星の方から奇襲されたという情報が!!」
「奇襲だと!?工藤署長は?トレバーもいるはずだ。」
「今のところ、何が起きているのか分かりません。応援部隊を送りますか?」
男の提案にノアは頭を抱える。
「・・・・私が行こう。岩野総務大臣と天骸人を今すぐ呼べ。」
男はノアの言葉に唖然とする。
「しかし、これからの日程は・・・」
「黙れ!!」
ノアは男の首をつかみ、そのまま持ち上げる。

‘ダークハンド’

ノアがつぶやくと、男の体が徐々に黒くなっていく。
「ノ・・・ア・・・大・統領・・・・・」
男は最後にそうつぶやくと、体真っ黒になり、そのまま煙のように消えた。
ノアは平然とした顔で大統領室を後にした。

**********

ペンタゴン 1階 ホール

5人はこれからどうするのかを、大ホールで決めていた。
大ホールにはソファーやテーブル、床は赤い絨毯というホテルのような場所だ。
「これからどうします?」
アレックが七海に聞く。
「上はやめましょう。炎が強いし、崩壊したときには逃げ場がない。」
「確かに・・・」
ニックスやエイミー、優太もその意見には納得した。
「下に向かうか?」
「でも、エレベーターは動かないわ。」
「あきらめるしか・・・ないのかな・・・・」
アレックがボソッとつぶやく。
「・・・七海、無理はせずに、時間をかけて仲間を増やして政府を倒せばいい。焦る必要はない。」
優太が七海の肩に手を置いて言う。
「でも・・・」
「無理をすれば、また誰かが死ぬ。俺はそれを何度も味わった。脱獄のときだって、榛名が死んだ原因は俺にある。隼人だって、新庄だって、ガブリエル兄弟も。」
優太と七海の頭に、昔の仲間たちの笑顔が蘇る。
七海は優太の言葉を聞くと、大きく頷いた。
「エイミー、あなたの能力でここを離れましょう。」
「わ、分かりました。」
エイミーは左手を前に出す。
その時だった。

‘レーザースター!!’

バシュッ!!

「え?」
エイミーの左手は、赤い光線により切断された。
全員は一体何が起こったのか分からなかった。
「エイ・・・ミー・・・・」
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
エイミーは血が流れ出る左腕を右手を押さえながら床に倒れた。
「エイミー!!」
アレックとニックスがエイミーに駆け寄る。
優太と七海はレーザーが飛んできた方向を見た。
すると、そこには顔立ちの良いスーツを着た男性が立っていた。
優太は男の顔を見て歯を食いしばる。
「お、おまえは・・・・」
「神宮優太、久しぶりだな。」
「星風人!!」
優太は殴りかかろうとしたが、すぐに足をとめた。
理由は勿論、自分が今能力を使えないからである。
「こんなところで反逆者に会えるとはね。」
星風人は不気味な笑いを見せながらこっちに向かってくる。
「優太!!みんな、私捕まって!!」
七海は両手を全員に向かって出す。
ニックスはエイミーを抱え、アレックは切断されたエイミーの左手を持ち、優太は急いで七海のもとへ向かった。
「させるか!!」
「瞬間移動!!」
星風人がレーザーを出す前に、5人の姿が目の前から消えた。
「逃げられたか・・・」
星風人はため息をつく。

「星風人!!」

突然、階段の方から太陽人が現れた。
太陽人は気絶している天地人と創造人を抱えている。
「その二人は?」
「気絶してる。上で誰かにやられたらしい。署長は死んだよ。」
「そうか・・・」
太陽人は二人を床に寝かせると、辺りを見渡す。
「なにかあったのか?」
「いや、何もないよ。」
太陽人は星風人の言動が気になり、傍による。
その瞬間!!

ガバッ!!

星風人は突然太陽人の首をつかむ。
「うぐっ!!な、なんの・・・つもりだ・・・・」
「残念。私は星風人じゃないよ〜ん」
星風人の姿から、シルクハットにステッキを持った男に変わる。
「て、てめぇ・・・誰だ・・・・」
「私はスマイリー。バーカス・ファイヤーサーカス団のマジシャンです。」
スマイリーはそう言うと、太陽人の頭を地面にたたきつけた。
その力は見た目によらずの怪力だった。
勿論、太陽人はその場から立ち上がらず、気絶してしまった。
「では、私も後を追いますかな。」
スマイリーはそう言うと、ペンタゴンから出て行った。

**********

一方、東京と神奈川を結ぶ高速

バーカス・ファイヤーサーカス団を乗せたトラックは高速を走っていた。
運転席で運転をするプライムは携帯の電源を切る。
「スマイリーは作戦を成功させてペンタゴンから脱出しました。」
助手席に座っているバーカス団長はその言葉を聞くと微笑む。
「そうか。後は、あれだけだな。」
「はい。目的地は・・・・」



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