ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜オリキャラ募集♪ ( No.38 )
- 日時: 2010/02/11 09:06
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
11話 『能力者の親』
バーカス・ファイヤーサーカス団を乗せたトラックは、ある敷地内に入って行った。
「ここが発電総局ですか?」
プライムはバーカスに尋ねる。
「あぁ。このままいけば球状の建物がある。そこまで運転していろ。」
バーカスが外を見ながら言った。
外には火力発電所や原子力発電所が多く立ち並び、黒い煙を延々と出し続けている。
「しかし、なぜこのような場所に?」
「ある男に会うためだ。団員達には攻撃態勢に入れと言え。」
「え?」
プライムはバーカスの言葉に一瞬だけ唖然とした。
「なぜです?」
「相手は二人。不老不死の英雄に能力者の‘親’だ。」
バーカスはプライムに言うと、ポケットから一枚の写真を取り出す。
写真には3人の若い男性と小さな子供が写っている。
「左の男はブラックバーンという不老不死の能力者。真ん中の男はジョン・シルファー。こいつのことはよく知らない。右にいる白衣を着た男はチャールズ・ウォーカー。能力を最初に見つけた人間だ。」
プライムは興味を持ってその写真を見る。
「この小さいな子どもは・・・?」
「・・・・この子は、谷瀬和馬。簡単に言うと、この子はチャールズ・ウォーカーの実験体だ。どうなったかは知らないけどな。」
バーカスはそう言うと、写真をポケットにしまう。
その動作を見ながらプライムは再び質問した。
「やけに、詳しいですね。」
「まあな。この実験にかかわっていたからな。」
「は!?」
プライムはその言葉に驚く。
「このサーカス団を作る前は、俺は能力について研究していた。だが、ある事件が起こり俺は研究所から逃げ出した。」
バーカスは悲しそうに言うと、暗雲を見上げる。
プライムは質問しづらかったが、思いきって質問した。
「事件とは・・・・。」
「谷瀬和馬の暴走だよ・・・・」
数十年前____
スイス 実験施設
いつものように、俺らは能力について調べていた。
能力は‘シンストーン’という石を触れた者が使えることが研究で分かった。石に触る者が違えば、能力も違う。そこで、チャールズ・ウォーカーは一つの提案を出した。
‘この石を体に埋め込むとどうなるか?’
その提案に谷瀬和馬、当時は小学生の彼の腹部にそれは埋め込まれた。
しかし、彼は手から電気を出せる能力しか使えなかった。結果はだれしもがそう考えていた。
チャールズは和馬をその状態で隔離部屋に放置した。
しかし、それが最悪な状態を招いた引き金だった。
実験が終わったある日のこと、俺が施設の門をくぐりぬけた瞬間、施設は大爆発。
その直後に研究所の玄関から、体が光っている谷瀬和馬が現れた。
俺は呆然とし、谷瀬を見ていると、チャールズが和馬に抱きつき、腹部に埋め込まれていた石を剥ぎ取った。
和馬はチャールズを突き飛ばすと、背中から黒い羽根を生やし、その場を後にして行った。
だが、これだけでは終わらなかった。
チャールズは突き飛ばされた際に石を飲み込んでしまい、彼は体の左半分が真っ黒に染まってしまった。
この事件、いや、事故が起きて今現在も谷瀬和馬の居場所は分からない。
バーカスは今に空から和馬が襲ってくるのではないかと恐れていた。
プライムは過去の話を聞くと無言になり、運転を続けた。
**********
東京 廃墟
以前使っていた高級マンションの廃墟に5人は現れた。
ニックスは血まみれのエイミーを床にそっと置くと、すぐに止血する。
アレック、優太、七海はその光景を唖然と見ていた。
「ダメだ!!血が止まらない!!」
ニックスはそう叫びながら七海を見る。
「ボス!!回復の能力は!!」
その言葉に、七海はある能力を思い出した。
七海はエイミーに駆け寄ると、切断された左手を腕にくっつける。
「七海、誰から回復能力を・・・」
「自然人。月光人がもしものためにって言って・・・」
七海は集中し、左手に両手を乗せる。
すると、腕から流れる血が止まり、あっという間に腕と左手がつながった。
「ボ、ボス!!」
ニックスとアレックはそう叫びながらエイミーに駆け寄る。
「今は気絶してるけど、時間が経てば起きるよ。それより、優太、ちょっと・・・」
七海は優太を呼び、部屋の外に出る。
優太も後を追いかけた。
マンションの廊下は薄暗く、ホコリやクモの巣がたくさんある。
七海は優太の方を向くとため息をついた。
「これからどうする?」
「今はエイミーがあんなのでは動けない。」
「そうよね。とりあえず、これを。」
七海はポケットから青白く光っている石を優太に渡す。
「これは・・・?」
「シンストーン。それに触れた者は能力を使えるわ。って言っても優太もう触ってるから使えるよ。」
優太はその言葉に、自分の手を見てみる。
優太の左手は刃物に変わった。
「も、戻った!!やった!!!」
優太は笑顔で七海の方を見る。
「よかったね。今日は休みましょ。エイミーが起きてから作戦を練ろう。」
七海はそう言うと、部屋に戻って行った。