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Re: 〜アビリティワールド 第1章 逃亡の果て〜12話更新♪ ( No.43 )
日時: 2010/02/15 21:50
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

13話  『闇と光』

神奈川核兵器・原子力発電総局

暗雲は真っ赤な炎で消え、発電所は火の海と化していた。
所々では爆発が起こり、いつ核爆発してもおかしくない状況になっている。
その火の海の中、ノア、岩野、天骸人、鈴香が何者かを追いかけていた。
4人の前方には2人の男がいる。
「チャールズ!!どうすんだよ!!」
「戦える状態ではない!!相手は政府の人間だぞ!!」
体の半分を包帯で覆っているチャールズ・ウォーカーは走りながら叫ぶ。
黒いコートに黒い野球帽をかぶったブラックバーンは後ろを振り向く。
「それより、あいつらの目的はあんたの命を奪うことだろ?」
「お前の命もだよ!!」
声が聞こえていたのか、岩野が2人に叫ぶ。
2人はある程度走ると右に曲がる。
しかし、その先の道は炎の壁で塞がれていた。
「うそだろっ!?」
「ここまでのようだな・・・」
ノアは不気味な笑みを浮かべながら2人の前に立つ。
岩野たちもすぐに追いついた。
チャールズとブラックバーンは逃げ場を失い、目の前の敵と目を合わせる。
「こいつらを殺せ。」
ノアが冷たい目で2人を見ながら言った。
岩野たちがジワジワと2人に近づく。
その時だった。

ブォォォォォォォン!!!!!!!

物凄いエンジン音とともに、炎の壁を突き破って一台のトラックが突っ込んできた。
「うわっ!!」
全員は道の隅に飛び込み、トラックは派手に止まった。
「・・・・バーカス・ファイヤーサーカス団か。」
ノアがつぶやくと、トラックから数十人の団員と団長のバーカスが下りてきた。
「久しぶりだなぁぁぁ!!!ノアぁぁぁぁ!!!!」
バーカスはトラックを降りるなり、いきなりノアに襲いかかる。
「やれぇぇえ!!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

シーカー副団長の命令とともに、団員達がノアたちに襲いかかる。
「めんどくさいな・・・・」
「逃げんなよ。天骸人。」
鈴香は天骸人にそう言うと、両手をドリルに変えた。
「ハイパー・ブレイク・オン!!!」
鈴香の両手のドリルは火花を出しながら回転し、目の前にいるペインの腹に突き刺す。
「効かないよ〜ん」
ペインの体は全身火となり、攻撃を簡単に防ぐ。
「名前は・・?」
「ペイン・メラーズ。サーカス団の指揮官。あんたは?」
「アメリカ政府能力者討伐部隊隊長、早見鈴香よ。」
鈴香はニヤリと笑うと、ペインの顔にドリルを向ける。
しかし、再びペインは火になり攻撃をかわす。
「無駄無駄!」
二人は戦いながらその場から離れて行った。

**********

天骸人はプライム・アイアン、ハースト・アイアンと戦闘中。
天骸人は戦わず、ただ逃げていただけだった。
「戦えこら!!!」
「戦いなさいよ!!」
2人は叫びながら、口から火を出す。
「ダブル・ファイヤー!!」
2人の口から出た火は天骸人めがけて向かう。
「俺の能力は戦闘向けではないのだ・・・」
天骸人がそう言うと、向かっていた火が天骸人の目の前で消えた。
「え!?なんで!?」
「俺の能力は半径100メートル以内の物体を別の場所に移動できる力。」
天骸人の言葉を聞くと、2人は顔を合わせて後ろを振り向く。
すると、そのまま走って逃げだした。
「形勢逆転だな。」

**********

一方、トラックの前ではバーカスと岩野とノア、チャールズとブラックバーンが残っていた。
その5人を取り囲むように、シーカーを含めて何人かの団員がいる。
「ノア、お前のせいで俺は何十年もペンタゴンの中にいた。この無駄な時間を返してもらおうか。」
「私のせい?新聖歴の戦いでお前や優太、ゼノンは国自体に反抗したのだ。当然の報いだろうが。」
ノアがそう言うと、シーカーが飛びかかろうとした。
が、バーカスがそれを止める。
「本当は我々が正義。将来の光なのだ。なのに、お前らは神宮優太を悪者に仕立て上げ、闇の中へと葬り去った!!!」

「黙れ!!!」

ノアがバーカスを睨みつける。
「今まで多種多様な能力者を見てきたが、どいつもこいつも能力を使いきれていない。」
ノアはそう言うと、岩野の方を向く。
「彼も元はそうだったが、私につくことで・・・」

「うるさぁぁぁいぃぃぃぃ!!!!!!!」

シーカーは堪忍袋の緒が切れ、バーカスを振り払い岩野に飛びかかる。
しかし、岩野は冷静にそれをかわした。
「バーカス、弟のしつけがなっていないな。岩野、殺せ。」
ノアが命令すると、岩野はシーカーの首をつかみそのまま持ち上げる。
「てめぇ!!」
「動くな。動けば弟の首が折れるぞ。」
バーカスは歯を食いしばりながら我慢する。
「残念だが、お前達もここまでのようだな。」
ノアは不気味に笑うと、岩野に目で合図する。
「よ、よせ!!」
バーカスが叫んだその時だった。

「岩野ぉぉぉぉぉぉ!!」

突如、全員の目の前にエイミー、アレック、七海、優太、ニックスが現れた。
「なっ!!!」
「うらぁ!!」
ニックスが怪力で岩野の腹を殴る。
岩野は血を吐きながら、後ろの壁にたたきつけられた。
「優太・・・・」
「ゼロ。ここで幕を閉じてやる。」
優太はそう言うと、両手を刃物に変える。
「それはどうかな?」
ノアは両手から黒い煙を出す。


「終わりか。新たな始まりか・・・・。決着をつけようか。」