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- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜17話更新♪ ( No.63 )
- 日時: 2010/03/09 16:38
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
18話 『絶望の鎮魂歌』
地球のどこか
どこか分からない建物の中、数人の人間が若い男性の目の前に集う。
「諸君、ごきげんよう。この時が来たようだ。」
黒いスーツに髪を赤く染めた谷瀬和馬は笑顔で言う。
「星風人、チェ・リンの殺害は成功したか?」
「はい。彼女は即死です。確認いたしました。」
星風人は着ているスーツに付いている政府のバッジを剥ぎ取る。
バッジを地面に捨て、不気味に笑った。
「トレバー、星風人、ニックス、ギボン、ミラーはノア大統領を抹殺しろ。」
和馬が言うと、5人は頭を下げた。
「星風人。最後の歌姫は今どこにいる?」
「彼女は、大統領に従えています。存在はバレていないはずです。彼女が、大統領を殺害します。」
星風人がそう言うと、和馬の顔色が変わる。
「それは本当か?」
「えぇ。彼女は今日、大統領に会いますからね。その時、向こうもすべてを知るでしょう。」
「そうか。それなら、5人はアメリカ襲撃してくれ。」
「了解しました。」
5人は声をそろえて言うと、建物から姿を消した。
残ったラスト・アビリティ、L・Aは和馬の前に立つ。
「君は、チャールズ・ウオーカーを探してくれ。」
和馬がそう言うと、L・Aは何も言わず建物から出ていった。
「すべてを終わらせようか。」
和馬は不気味に笑い、その場から姿を消した。
**********
アメリカ ホワイトハウス
大統領室には、ノアと二人の男性がいた。
「キラー・テート隊長。あなたは、能力者狩りをお願いします。」
白人のスキンヘッドのキラーはその言葉を聞くと、頭を下げる。
「了解した。」
キラーが出ていくと、残ったキング・エインズワースはノアを見る。
ノアはキングを椅子に座らせると、自分も椅子に座った。
「キング捜査官。あなた、FBIが今まで関与した事件の中で‘最後の歌姫’という言葉を聞いたことありますか?」
ノアが尋ねると、キングは首を傾げ復唱した。
「最後の・・・歌姫・・・?」
「天地人から連絡で聞いた言葉です。死亡したチェ・リンは何かを調べていた。」
ノアがその言葉を言い終わったと同時に、鈴香が入ってきた。
「失礼します。ノア大統領。」
ノアは鈴香を見ると、目を大きく開いて驚いた。
「久しぶりだな。落下した能力者は見つかったか?」
「いえ。」
鈴香は首を横に振り、ノアに近づく。
ノアは鈴香に不信感を抱いた。
鈴香の表情がおかしい。何かに脅えているようだ。
「どうした・・・?」
「ノア・エーオース大統領。あなたの負けだ。」
鈴香の表情は一変し、座っていたキングの顔を殴る。
「うがっ!!」
キングは床に頭を強打した。
「なんのつもりだ?」
「ふっふっふっふっ。私の顔を覚えていないとでも?」
鈴香がその言葉を言い終わった瞬間、鈴香がノアの目の前から消えた。
「何!?」
「こっちよ。」
ノアの後ろに鈴香が笑いながら立っている。
ノアが後ろに下がると同時に、キングも立ち上がった。
「何者だ?早見鈴香ではないな?」
「彼女は死んだ。私は・・・」
鈴香の姿が少しづつ変わる。
そして、その姿を見てノアは愕然とした。
「お、お前は・・・。」
「久しぶりね。ゼロ・・・」
ノアの目の前に現れた謎の女性は、一瞬でキングの後ろに回る。
「あがっ!!」
キングの首をナイフが貫く。
キングは白目をむき、そのまま床にバタリと倒れた。
ノアは女性の正体を知っているらしく、恐怖でその場から動けない。
「どうしてだ・・・?なぜ生きている?あの時、彼が殺したはずだ。」
「谷瀬和馬の能力で生き返ったのよ。」
女性はそう言うと、ノアの心臓にナイフを突き付ける。
「あなたが動けない理由は一つ。すでに、囲まれているからよ。」
背景が歪み始め、ノアの周りにトレバー、星風人、ギボン、ミラー、ニックスが現れる。
「星風人・・・お前・・・・」
「大統領、世界を手にするのは我々だ。」
星風人はそう言うと、人差し指をノアの頭に向ける。
「レーザースター」
星風人の人差し指から赤いレーザーが発射。
レーザーはノアの頭を貫通した。
ノアはそのままキングと並んで倒れた。
「さあ!!ショータイムだ!!!」
星風人は両手からレーザーを出し、大統領室の窓をすべて割る。
「行くわよ。」
6人は大統領室を出て、廊下をスタスタと歩く。
「おい!!貴様ら!!」
警備員が2人、6人の目の前に立ちはだかる。
「邪魔だ。」
耳にピアスをし、近寄りがたい雰囲気を出しているミラーは片手からブラックホールを出す。
「なっ!!」
警備員は一瞬でブラックホールの中に吸い込まれた。
6人は歩調を速め、廊下を進んでいく。
すると、任務から帰ってきた雨水神と創造人がいた。
2人は6人に気付くと、愕然とした表情を見せた。
「消えろ。」
星風人は両手からレーザーを出し、2人の頭を貫く。
2人は何もできずに、そのまま床に派手に倒れた。
「世界は我々のものだ。ここを拠点とし、新生アメリカ合衆国、いや、世界の建国を宣言する。」
星風人はそう言うと、残りの政府関係者を殺し始めた。
謎の女性はニヤリと笑い、つぶやいた。
「この私が・・・・あの方のためにやるのだ・・・」
この私、神崎榛名が・・・ね・・・・_______
暗黒歴17年 2035年
アメリカ合衆国と日本は、この瞬間、谷瀬和馬の物となった