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- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜18話更新♪ ( No.65 )
- 日時: 2010/03/26 15:10
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
19話 『崩れゆく空 最終決戦へ』
ビュン!!
「おわっ!!」
優太は謎の風に乗り、あっという間に東京のある場所に着いた。
「大丈夫?神宮優太君?」
優太が頭を上げると、目の前にはミニスカートに見覚えのある服装の女性が立っている。
「希望中学校の制服・・・・」
「思い出した?ここはその希望中学校よ。」
「は!?」
優太はその言葉で周りを見渡す。
確かに、ここは学校の屋上だが、校舎は半壊している。
「あなたたちが飛行機で移動中に、二機のステルスが東京に爆弾落としてこの有様よ。」
「なぜ、俺の落ちた場所が分かった?」
優太が聞くと、女性は手を優太の方に向ける。
すると、優太の周りだけに強い風が吹く。
「私は風を操り、風になれる。能力を利用してあなたを見つけたの。」
「俺だけか?七海やほかの能力者は?」
優太の質問に、女性は首を横に振る。
「ごめんなさい。あなたを目で追うだけで精一杯だったの。天候も悪かったし・・・」
女性がそう言うと、後ろのドアから数人の人間が現れた。
「優太!!」
優太の名前を呼びながら、一人の男性が走ってきた。
その男性に優太は見覚えがある。
中学時代の教師であり担任のジョン・シルファーだ。
「ジョン先生!!それに、リリス!!」
ジョンの隣にはリリス・キャラメルがいた。
「優太君、大丈夫だった?」
身長が伸び、髪を伸ばしたリリスは優太に近づきながら言う。
ジョンの容姿もかなり変わっていた。
髪は歳のせいで白髪が目立ち、白いコートを着ている。
「なんで?どうして生きてるのですか!?」
「リリスのおかげだ。新聖歴最後の戦いで、俺らは負けると思い、リリスの能力で影の中に隠れたんだ。それから数十年、お前を探しながら生きてきた。」
ジョンがそう言うと、再び後ろから見覚えのある男性が現れた。
「テオボルト・・・。」
「久しぶりだな。神宮優太。」
優太の目の前に、テオボルト、クインシー・レジナンド、パトリック・オーランドが立っていた。
「こいつが、テオボルトさんが話してた人ですか?」
クインシーが聞くと、パトリックも聞いてきた。
「俺は別に構わない。奴らに復讐できるならな。」
3人は笑顔で優太を見た。
優太がいまいち状況が判断できず、ジョンの方を見る。
ジョンは様子を察知し、頷いた。
「俺らは少数の能力者で構成された反政府組織‘ホープ’だ。」
「ホープ・・・希望?」
「あぁ。この学校の名前から取ったものだ。俺らは、今からアメリカ政府に攻撃を仕掛ける。」
「え?」
優太はその言葉に唖然とした。
こんな人数でノアに勝てるはずがない。
「優太、落ち着いて聞いてくれ。ノアは死んだ。」
「は・・・?」
ジョン先生は何の冗談を?
奴が死ぬわけがない。数十年追いかけて殺せなかったのに。
そんなはずはない。
「うそでしょ?根拠は・・・?」
「彼を見れば・・・すぐに判断できる。」
ジョンがそう言うと、ドアがゆっくりと開き予想もしていなかった人物が現れた。
優太はその人物を見て唖然とする。
「な、な、な、なんでお前が!!」
「天地人!?」
優太の目の前には確かに、スポーツサングラスをした天地人がいた。
「対面するのは脱獄以来か?原子力発電所では会えなかったからな。」
優太は天地人との再会に驚きより怒りが込み上げてきた。
優太は天地人を殴り倒し、そのまま上に乗った。
「お前達のせいで岩野や関係のない人間が死んだ!!それにお前は!!!榛名を殺した!!!」
「ぐっ!慌てるな・・・」
「黙れ!!!!!!」
優太は右手を刃物に変え、天地人の頭めがけて振り下ろした。
が、テオボルトのサイコキネシスで優太の攻撃は塞がれた。
優太はテオボルトを見る。テオボルトは何も言わず首を横に振る。
「優太、安心しろ。今回はお前の仲間だ。」
天地人はスーツを着なおしながら言う。
「信用できない。」
「ノアは死んだ。創造人も雨水神も殺された。早見鈴香も先ほどミシシッピ川の河口で遺体が確認された。現在生きている‘十戒衆’は太陽人と神谷屡婁に俺だ。星風人は裏切った。」
優太は天地人の‘裏切った’という言葉を不審に思う。
「・・・・裏切った?」
「あぁ。谷瀬和馬一派がホワイトハウスを襲撃して、その中にはトレバーや星風人、それに、神崎榛名もいた。」
「は、榛名が!?榛名はお前に殺されたはずだ。」
「私も目を疑ったよ。だが、彼女は正真正銘本物の神崎榛名だ。」
優太は天地人の言葉に困惑する。
榛名が生きていた?信じたいが、信じれない。
榛名は優太の目の前で、心臓を拳銃で撃たれ死んだのだから。
優太が愕然としているその時だった。
「ジョン!!あれ!!」
リリスがジョンの名を叫び、空に指さす。
全員はリリスが指さす方向を見た。
そして、全員の目の前に想像を超えた光景が広がった。
「そんな・・・・こんなことが・・・・・」
優太たちが見上げる空。
暗雲が一気に消え、青い空が広がった。
が、その空の様子がおかしい。
─空が・・・崩れている・・・・─
「ありえない!!あれはなんだ!?」
全員は叫びながら、その光景を見ていた。
空からパズルのピースのようなものが降ってくる。
それは‘空の一部’。
ピースが無くなった部分は真っ黒だ。
「・・・・谷瀬和馬だろう。急ぐぞ!!アメリカに!!」
天地人がジョンに言うと、ジョンはパトリックを見る。
パトリックは頷き、両手を出した。
「俺の能力は瞬間移動だ。いますぐアメリカに急ぐぞ!!」
全員はパトリックの手に触れ、アメリカへ瞬間移動した。
**********
アメリカ ホワイトハウス
アメリカの都市は炎をあげて燃えていた。
星風人たちがアメリカの主要都市を攻撃したのだ。
和馬は窓が割れ、キングとノアの遺体が転がる横で椅子に座ってその光景を見ていた。
アメリカの空からも空のピースが降ってくる。
「創造人の能力、創造再生。ハンデが寿命4年分?そんなの無敵の私には効かない。」
和馬はニヤリと笑うと、立ち上がり空を見上げた。
あちこちで悲鳴が聞こえる。
アメリカの都市機能は完全停止。ほぼ壊滅状態。
和馬が空を見上げていると、目の前の庭に星風人とトレバー、ミラー、榛名、ギボン、ニックスが集う。
「それではただいまから、世界の再建を開始する。」
和馬はそう言うと、不気味に笑った。
〜〜第2章 絶望の鎮魂歌〜 終了!!