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- Re: 〜アビリティワールド 最終章 人類の運命〜21話更新♪ ( No.75 )
- 日時: 2010/03/25 12:41
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
22話 『最終決戦その3 トレバーの想い』
星風人の人差し指からレーザーが発射されたその時だった。
「うらぁ!!」
間一髪、天地人は気を取り戻しレーザーを避けた。
天地人は星風人の腹を蹴り、体勢を取り戻す。
「うぐっ・・・。お前・・・」
天地人は星風人の後ろにいるトレバーと優太を見る。
トレバーは巨大化した手を振り上げ、優太めがけて振り下ろそうとしていた。
「やめろ!!」
天地人が叫ぶが、トレバーの巨大な拳が優太に降り注いだ。
地面が揺れ、優太のうめき声が辺りに響く。
「うぅぅぅぅぅ・・・・・・」
優太は段々地面にめり込み、意識もなくなりかけていた。
「トレバー!!おまえは正義のために署長に就いたんじゃないのか!?」
「いつの話をしてる?」
星風人が笑いながら天地人の足をレーザーで攻撃する。
天地人の右足をレーザーが貫通し、天地人はその場に倒れこんだ。
トレバーは未だに瀕死状態の優太を攻撃している。
星風人は天地人の髪をつかみ、視線を自分に向けさせる。
「お前たちの負けだ。今回は助けも何もない。奇跡など起きないのだ。」
星風人は人差し指を再び天地人の頭に向ける。
「さらばだ。我が同志よ・・・・」
「さらばはお前だ。」
「あ?」
星風人は突然の声に後ろを振り返る。
後ろには巨大なトレバーが立ちはだかっていた。
「・・・とどめはさしたのか?」
「いや・・・今からだ。」
トレバーは巨大な拳で星風人を殴り飛ばした。
「ぐわっ!?」
星風人はトレバーの謎の攻撃を諸に喰らった。
トレバーは天地人を担ぎあげると、星風人の元へ走る。
星風人は地面に強く叩きつけられ、頭から血を流していた。
「裏切る気かぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「俺はラットイスケイプ署長の・・・トレバーなんだよ!!!」
トレバーは最後に星風人を蹴りあげる。
星風人は身動きもとれずに空中を舞う。
「お前の負けだ!!星風人!!」
トレバーは空中を舞う星風人を殴り飛ばした。
星風人は建物の壁を崩しながらそのまま砂煙の中へと姿を消した。
「・・・・終わったか。」
トレバーは笑顔になると、元の大きさにもどり天地人を地面に下ろした。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ。それより優太は?」
「俺は大丈夫だ。」
天地人の後ろにはボロボロとなった優太が立っていた。
「優太!!大丈夫か!?」
「あぁ。それよりトレバー・・・・」
「いいんだよ。思い出した・・・昔のことを・・」
トレバーは地面に座り込むと、2人の顔を見る。
「すまない・・・。」
「謝るのは戦いが終わった後だ。奴らはどこにいる?」
トレバーは天地人の言葉で立ち上がる。
「奴はホワイトハウスだが、2つの関門を通り越さねばならない。」
「関門?」
2人は首を傾げてトレバーを見る。
トレバーは前方を指さして話し始めた。
「最初の関門は、ホワイトハウスを囲むセキリュティ・システムだ。」
トレバーは話しながら歩き始めた。
2人もトレバーを追いながら話を聞く。
「ギボン・ホプキンスがホワイトハウスから1キロ以内の範囲を炎の壁で遮断している。」
「それを潜り抜けることはできないのか?」
「ギボンを殺せば潜り抜けれる。次の関門だが・・・」
トレバーはため息をつきながら話を続ける。
「第2の関門は歌姫の幻術でホワイトハウス周辺に近付けないことだ。」
「幻術か・・。厄介だな。」
「幻術のせいでホワイトハウスに近付けない。無論、その幻術は歌姫を殺せば解けるが、第2の関門は歌姫の位置が分からないから不可能に近い。」
トレバーは立ち止り、天地人と優太を見る。
天地人と優太は片手を出して握手のサインを出す。
「・・・いいのか?俺は・・・敵だったんだぞ・・・」
「今は違う。君は、敵を倒して僕らを奴らに導こうとしている。もう仲間だよ。」
優太はトレバーにそう言うと、固い握手をした。
「行こう。敵はもうすぐ目の前だ。」
そして3人は、最初の関門へと足を進めた。
**********
建物の瓦礫の中から、血まみれの星風人が現れる。
星風人は立ち上がると、ポケットから携帯を取り出し和馬に電話をかける。
『報告は良い知らせか?悪い知らせか?』
『・・・悪い知らせです。トレバーが裏切り、私もやられました。』
『失望したよ。まだ動けるなら、今すぐホワイトハウスに戻れ。何としても彼らを止めろ。私の計画にこれ以上関わらせるな!!!!』
和馬は最後に叫ぶと携帯の電源を切った。
星風人は携帯を地面にたたきつけると、足で踏み壊す。
「・・・殺してやる。」
星風人はつぶやくと、ホワイトハウスに向かって走り始めた。