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Re: 〜アビリティワールド 最終章 人類の運命〜緊迫の26話更新♪ ( No.82 )
日時: 2010/03/30 15:49
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

27話 『優太暴走』

ホワイトハウス

和馬の前に倒れ込む、喉を怪我した優太。
口と切り口から大量の血が出ている。
戦える者は天地人だけ、ほかのメンバーは戦える状態ではない。
「天地人、君はまだ戦う気か?」
「くっ・・・」
天地人は予想をはるかに超えた和馬の力に体が動けない。
「分かってるだろう?今回は助ける者は絶対に来ない。理由は簡単。大半の強力で強い能力者はこのアメリカで倒れているんだからな!!あっはっはっ!!!!!」
和馬は大声で笑い、天地人に両手を向ける。
和馬の両手に炎の球が出来上がった。
「さらばだ。これで、世界は私の物だ!!!」
和馬が叫んだその時。

ガシッ!!

「あ?」
和馬の左足を誰かが掴む。
それは、瀕死状態の優太の最後のあがきともいえる行為だった。
「お前は死ぬんだよ!!くたばれ!!」
和馬が優太の顔面を蹴り飛ばした。
しかし、優太の和馬を掴む手の力は余計に強くなる。
「・・・あぁぁぁぁ!!!!」
和馬が突如悲鳴をあげて地面に座りこんだ。
天地人は不審に思い、和馬の左足を見る。
すると、和馬の左足は変な方向に曲がってズタズタに切られていた。
「・・・掴んでいただけだろ・・・」
天地人は優太を見る。
優太の瀕死状態の体がブルブルと震え、明らかに優太の体に何か起こっている。
和馬は体勢を戻すと、優太から離れた。
「悪神の力か・・・」
優太は白目になり、背中から無数の刃物が飛び出す。
両手は今までに見たことのない黒い刃物に変形し、喉の傷は自然回復していた。
「優太・・・まずいな・・・」
天地人は一度優太の暴走を見ているため、すぐ様後ろに下がろうとした。
しかし、周りに気絶しているブラックバーンたちを見捨てるわけにはいかない。
「優太、頼むぞ!!」
天地人は死んだ者と気絶した者の避難を始めた。

優太が和馬の方を見ると、膝から黒い刃物が飛び出す。
和馬はその姿を見て苦笑いした。
「俺よりグロテスクな恰好してんな・・・。」
和馬は刃物と化した両手を構え、防御の体勢に入る。
「コロス・・・」
優太はその一言を最後に、ものすごいスピードで和馬に突っ込んできた。
「真正面から来るとはな。これでも食らえ!!」
和馬は両手から1万ボルトの電撃を繰り出す。
優太に電撃は直撃したが、優太はヘラヘラと笑いながら和馬の腹に刃物を刺した。
「な、なんで・・・効かない・・・・」
和馬は後ろに下がり、優太の方を見る。
優太の体には若干、電撃が帯びている。
「吸収したのか?悪神の力・・意味分からんな。」
和馬は刃物と化した両手と背中から生えている炎の羽を元に戻した。
すると、和馬は不気味に笑い両手から黒い箱を出した。
「ソレハ・・・アノトキノ・・・」
瀕死状態の優太の脳裏に前の出来事がフラッシュバックする。

‘ブラックシステム’

鈴香の隣にいた男が逃げるときに使った能力だ。
「マサカ・・・」
「そうさ。俺は前からお前と接してんだよ。」
和馬は両手にある黒い箱を優太に向かって投げる。
周りの風向きが変わり、黒い箱に小さな穴が開いた。
「その穴は太平洋の深海につながっているぜ。吸い込まれたら一瞬で水圧でペシャンコだ。」
優太はその言葉を聞いて後ろに下がる。
「オレハ・・・・」
優太に突如異変が起こり始めた。
「オレハ・・・カミ宮・・・・・・優タ・・・」
「なんだ?今がチャンスか?」
和馬は両手を再び刃物に変え、優太に向かって走り出す。
その時だった。

「邪魔はさせん!!」

天地人と気を取り戻したブラックバーンが和馬に体当たりをした。
和馬はバランスを崩し、その場に倒れ込む。
「くそっ!!」
「オレハ・・・悪神なんかに・・・飲み込まれない!!!」
優太の白目が普通の状態に戻る。
背中や膝から突き出していた刃物も元に戻り、元の優太に戻った。
「元に戻ったか・・・。だが、俺には勝てない。それは変わらないんだよ!!」
和馬が優太に向かって走り出す。
「優太ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

「なっ!!」

ブラックバーンが和馬にしがみつき、色々な物を吸いこんでいる黒い箱に向かって押す。
「お、おい!!」
「離せ!!やめろ!!」
ブラックバーンは優太の方を見ると、ニッコリとほほ笑んだ。
「裏切りまくって悪かったな。くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」

「あ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

ブラックバーンと和馬は黒い箱に飲み込まれ、それと同時に黒い箱は消滅した。
その場に残った優太と天地人はあまりにも呆気ない終わりに呆然とした。

*************

太平洋 ど真ん中

水深2000メートルの地点に和馬とブラックバーンはいた。
「ば、ばなせ・・・」
和馬はもがくが、ブラックバーンはしっかりと和馬の首をつかみ、絶対に離さなかった。
ブラックバーンは沈みながらこれまでの出来事を思い出す。
200年生きていた自分の人生が、こんな形で終わるとは・・・
ブラックバーンは最後に微笑むと、体が音を上げてつぶれ始めた。
「いやだ・・・こんな・・・・終わり方・・・・・」
そして、和馬はとうとう力ついて抵抗を止めた。
2人の体は静かに、暗い太平洋の奥深くへと沈んでいく。
そして、暗闇の中へと姿を消した。