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Re: 〜アビリティワールド 最終章 人類の運命〜27話更新♪ ( No.85 )
日時: 2010/04/02 15:57
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

28話  『第2ラウンド』

ホワイトハウス

静まり返るホワイトハウス周辺。
優太と天地人は地面に座り込み、大きく深呼吸をした。
「終わった・・・」
「あぁ。これで、これで・・・・」
天地人はサングラスを取り、目から涙をこぼした。
優太も空を見上げて涙をこぼす。
空の崩壊はいつの間にか止まり、黒くなった部分は青色に戻り始めている。
「俺が中学の時から始まったこの戦い・・・。20数年の時を経て・・・やっと終わったんだ・・・」
優太は立ち上がると、気絶している七海の横に座った。
七海の表情はうっすらと笑っているように見える。
「七海、これで終わりだ。谷瀬和馬もノアも・・・」
優太はその時、あることを思い出した。
「天地人、アメリカ大統領は誰が今後なるんだ?」
「近いうちに世界全国で会議が開かれて、誰か決まるだろう。」
天地人は立ち上がると、優太と七海に近づく。
「優太、今まで色々すまなかった。最後に力を合わせて戦えたことを光栄に思うよ。」
「俺もだ。もうちょっと、違う出会い方だったらよかったのにな。」
2人が固い握手をすると、ホワイトハウスの門からトレバーの叫び声が聞こえた。

「おーい!!優太!!天地人!!」

トレバーの後ろにはSAT隊員とキラー・テートがいた。
「隊員たちは怪我している者の救助をしろ!!」
キラーは命令すると、トレバーと二人で優太たちに駆け寄る。
トレバーは優太の頭をポンポンと叩くと、笑顔で優太と天地人を見た。
「終わったのか。」
「あぁ。だが、死者が多すぎる・・・」
4人は辺りを見渡した。

テオボルト、クインシー、チャールズ、、バーカス、ジョン・・・

そして、ブラックバーン・・・・

優太は丸焦げとなったジョンの遺体を見つめる。
「先生・・・ありがとう・・・・」
優太はジョンの遺体にお辞儀をした。
「星風人はラットイスケイプに収監した。ギボン・ホプキンスも一応参考人として刑務所に送る。」
「そうか。トレバー、君は署長に復職するのか?」
天地人が聞くと、トレバーは頷く

「先輩!!」

天地人の後ろには、いつの間にか太陽人と天骸人と神谷屡婁がいた。
「お前ら、大丈夫だったか?」
「心配すんな。俺らは大丈夫だったよ。落下した能力者は全員見つかったし、神崎榛名も一命を取りとめた。」
太陽人の言葉に、優太は唖然とした。
「本当か?」
「あぁ。だけど、一応神崎は敵だったし、ラットイスケイプに収監される。」
優太は榛名が生きていることに安堵の息を漏らす。
「とりあえず、ここから安全な場所に避難しよう。」
キラーが全員に言ったその時だった。

『もう、すべてが終わったと思ったかい?』

ホワイトハウスの庭園に設置されているスピーカーから突如謎の放送が始まった。
優太たちはスピーカーの声に動きが止まる。
『まだ何も終わってないよ。世界に残った残り少ない能力者のみなさん♪』
男らしき声が、スピーカーを伝わりアメリカ全域に響き渡る。
「放送はどこからだ!?」
キラーがSAT隊員に聞く。
「近くの放送局です!!隊員たちを向かわせます!!」
SAT隊員たちは銃を構えてホワイトハウスを出ていった。
その時だった。

ズゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!

アメリカが大きく揺れ、アメリカ上空の空が再び崩壊を始めた。
「な!?」
全員はその光景に唖然とし、優太と天地人はスピーカーを睨みつけた。
『さあ。これからだよ、第2ラウンド始まりだ。』
その言葉を最後に、スピーカーの電源が切れる音が聞こえた。
「何者だ・・・・。」
トレバーは谷瀬和馬一派のメンバーを思い出す。

ミラーは死に、ギボンは植物状態。
星風人は現在ラットイスケイプに収監。同じく神崎榛名も。
谷瀬和馬は死んだ・・・残りは・・・

トレバーは口を開け残りのメンバーを思い出した。
「あいつだ・・・L・A・・・ラスト・アビリティ・・・。」
トレバーの言った名前に、天地人と優太も思い出した。
確か、ギボンが炎の壁を創って道を防いだ時、炎が自分の意思を持っていた。
L・Aの能力は物に意思を持たせること・・・。
「そんな奴、何もできないだろう?」
「さぁな。あいつはメンバーの中で一番分からない奴だった。とりあえず、何かする前に倒しに行くぞ。」
「行こう!!」
そして、優太たちはホワイトハウスから近くの放送局を目指した。

**********

ホワイトハウスの陰から、優太たちが走っていく姿が見えた。
「はぁはぁ・・・谷瀬和馬・・・このままで・・・終わると思うなよ・・・・」
大統領室で死んでいたはずのノアは自力で立ち上がると、黒い煙となって窓から外へ出る。
「コバルト中央放送局か・・・」
ノアはそう言うと、黒い煙のまま放送局へと飛んで行った。

**********

コバルト中央放送局

屋上には一機のヘリが止まっていた。
顔に包帯を巻いたラスト・アビリティ、通称‘L・A’はヘリに乗り込む。
「馬鹿な奴らだ・・・。爆弾でまとめてぶっ飛ばしてやる。」
L・Aはそうつぶやくと、ヘリを浮上させてアメリカの地を離れた。
飛び立ったその時だった。

「ぜぇぜぇ・・・」

ヘリの助手席に谷瀬和馬が現れた。
L・Aは和馬の姿を見るとフフッと笑う。
和馬の洋服はビショビショに濡れ、首には絞めつけられた跡が残っている。
「あと少しで死ぬとこだった・・・とりあえず、逃げるぞ・・・」
和馬は深呼吸をし、アメリカの街を見下ろす。
すると、放送局に向かっている優太達が見えた。
和馬は優太を見ると、舌打ちをする。
「次は必ず・・・殺してやる・・・神宮優太・・・」
2人を乗せたヘリは、そのまま優太たちを通り越した。