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Re: 〜アビリティワールド 最終章 伝説の英雄たち〜 ( No.89 )
日時: 2010/04/04 11:05
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

30話  『5ヶ月後』

アメリカ ホワイトハウス

大統領室にいる天地人は鏡の前でスーツを着なおしていた。
「そろそろか・・・」
天地人がつぶやくと、太陽人が大統領室に入ってくる。
「天地人。もうすぐ記者会見だ。何も隠さず、すべてを言え。真実を伝えるんだ。」
「分かってるよ。」
天地人はニッコリと笑うと、記者会見が開かれる部屋に向かった。

記者会見が開かれる会議室に入った直後に、天地人はたくさんのフラッシュを浴びた。
記者の数は50人。
周りには警備員やキラーがいた。
天地人は前に立つと、まずは記者たちに頭を下げる。
「みなさん。こんにちわ。31代目アメリカ合衆国大統領の・・・ライリー・ロックウェル。天地人と呼んでください。」
天地人は笑顔で記者たちを見た。
「本来、私ともう一人隣にいるはずですが、もう一人はみなさんも知っての通り、彼は現在居場所が分かりません。」
天地人が言うと、一人の記者が手を上げる。
「神宮優太さんの居所はまだつかめてないのですか?」
「はい。彼は4ヶ月前に姿を消した。たぶん、もう戻ってこないだろう。」
天地人はそう言うと、記者に質問した。
「ほかに質問は?」
「はい。現在、ラットイスケイプで服役中の星風人の処刑日は?」
「今日の正午だ。」
天地人の言葉に記者たちは時計を見た。
今時刻は11時56分。
「では・・・・もう・・・・」
「彼は大統領を殺し、多くの罪を犯した。」
天地人は頭の中で星風人の顔を思い浮かべる。
「さらばだ。星風人。」
天地人は小さな声でつぶやくと、窓から外を見た。
空の崩壊が止んで、すでに空は元の姿に戻っている。
「ではみなさん。今はお互いを助けあおう。そして、暗黒歴は終わりだ。これからは・・西歴に戻す。」
天地人は最後にそれだけを言うとその場を後にした。

**********

ラットイスケイプ刑務所 処刑場

砂漠地帯の建てられたこの刑務所の隣に処刑場はあった。
星風人は手錠を足枷をつけられ、その場に膝をついて座りこむ。
「星風人。本名、ジャスティン・スターよ。最後の言い残すことはあるか?」
トレバーが星風人に聞くと、星風人は頭をあげて不気味に笑った。
「くたばれ、くそ共。」
「そうか。構えろ!!」
トレバーがそう言うと、星風人を囲むように看守たちが並び銃を構える。
「銃殺刑。少しの苦しみはあるが、すぐに死ねる。」
トレバーは後ろに下がると腕時計を見た。
時刻は正午になっていた。
「用意!!」

カチャ!!

看守10人が星風人に銃を向ける。
「・・・・・・」
星風人は無言で空を見上げた。そして、処刑が始まった。
「撃て!!!」

タッタッタッタッタッタッタ!!!!!!!

10人の看守が銃で星風人を一斉に射撃。
星風人の体をいくつもの銃弾が貫いた。
「やめろ!!」
トレバーの合図で銃声は止み、辺りは静かになる。

バタッ!!

星風人は手足を拘束されたままその場に倒れた。
トレバーは星風人に近づくと、顔を覗き込んだ。
星風人は目を開けたまま、笑顔でこの世を去っていた。
「・・・遺体は焼却しておけ。」
トレバーがそう言うと、看守が星風人の遺体を用意していた遺体袋に入れる。
そして、静かに遺体袋のチャックが閉められた。

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静かに時は過ぎていく_______


そして、生き残った能力者は______


自分の人生にピリオドを打つため______


それぞれ歩み始めていた_______