ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ブラックチェーン ( No.54 )
日時: 2010/03/22 20:16
名前: 白兎 (ID: oDAd3.8e)

  ********** 幼き犯人 **********

 花屋敷を出て、数分後・・・

  「行くぞ。」

  「は?どこへ・・・

  「花屋敷。」

  「何で・・・

  「良いから。」


 そして、賢人に(半ば無理やり)連れられ、再び花屋敷へ。


(がさごそ・・・)

  
  「侑。何をしている?」

  「へ!?なんっ・・で・・・もう帰ったんじゃ・・・」

  「侑くん・・・なに、ソレ・・・。」


 侑くんはまだ花屋敷に居た。


 そして・・・侑くんの手には


 また




 動物の死体。



  「こっこれは・・・その、僕の飼ってた犬で・・・」

  「侑、お前のペットはそんなによく死ぬのか?
   しかもこの数分の間でか?」

  「侑くん・・・どうして・・・・。」

  「それはっ・・・!

   ・・・前にいっただろ?
   僕は早くおばあちゃんに花を見せたいって・・・」

  
  「侑、お前まさか・・・」

  
  「動物を、この桜の栄養にしたんだ。」

  
  
  「そんなっ・・・!侑くん・・・!?」

  
  「でも、僕が殺した訳じゃないよ。」

  「じゃあ、誰が・・・」

  「・・・わかんないんだ。いつも顔を隠していたから・・・。
   分かるのは男だということだけだよ。
   悪いことしてるってことは判ってるよ?
   でも、これをやめたら・・・
   
   僕も殺される。」

  
  「侑・・・教えてくれ。
   お前に何があったんだ?」

  「うん・・・・


——すこし前のこと————

 僕は早くあの桜が咲いて欲しくて、いつもここに来てた。


 ある日、帽子を深くかぶって、サングラスとマスクをしたスーツ姿のおじさんが現れた。


 そして、僕にこんなことを話してきた。

  「キミはこの桜を早くおばあさんに見せたいんだろ?
   だったら、私に協力してくれないか?」

 これは、こんな提案だった。

  『動物の死体を埋めて欲しい』、と。

  「死体を、桜の木の栄養にすればいい。そうすれば、早く咲くんじゃないかな。
   どうだい?キミと私の両方にメリットがある、良い提案だろう?」


 僕はその提案に乗ってしまった。


 それから僕は、毎日のようにアイツに渡された動物の死体を埋めていた。

 そんなある日、いつもの動物では無いものを渡された。

 それは、人間だった。多分、男の人。

 
 僕は断った。

  「人間を埋めるなんて出来ない!
   いったい、おじさんはなんなんだ!?毎日のように動物を殺してきて・・・!
   もうこの仕事はしたくない!!」

 すると、おじさんは僕のむなぐらを掴んだ。

  「黙れよ、小僧・・・。
   この仕事をやめる!?そんなことをしてどうなるか判っているのか?
   こいつらと同じように埋めてやる。」

 
 僕は恐ろしくて、その後も死体を埋め続けた。


————————————


  「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

  「謝ったところで、どうなる訳でも無い。
   侑、お前は・・・

   立派な犯罪者だ。」

  「賢人・・・そんなこといっ・・・

  「いいんだ、美宇姉ちゃん。
   僕がやったんだ、全部・・・。

   賢人兄ちゃん、僕、自首しなくちゃね・・・はは・・・」

  

  「いや、まだいい。」

  
  「・・・?」

  「まだ、調べなきゃいけないこともあるからな・・・。」


  「そうだね・・・!
   侑くんのためにも、見つけなきゃね・・・!」


 

 そうして、私たちはこの事件の犯人を調べることになった。