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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 始り ( No.1 )
- 日時: 2010/01/22 20:21
- 名前: 音 ◆fpcvJMKcxg (ID: IJ2q7Vk/)
- 参照: 歪んだ童話の「作者」—マスター—は何? —「ぼくらの『歪』童話」
「あのひとを、しらない?」
目の前の少女が発した言葉は、痛みを訴えるものでもなく謝罪や心配の言葉でもなく僕の耳が正しければ間違いなくその言葉だった。
「え、し、知らない、けど…」
何が何だか分からないままそう答えると、目の前の彼女は聞いているのかいないのか無言のまま立ち上がって、そのまま夜の闇に消えていった。
…説明しよう。ここは夜…正確に言えば午後11時の住宅街。しかも路地裏。僕がこんな所にいる理由は単なる塾の帰り道。の近道だから。
さっきの少女は単にぶつかっただけであり、僕がストーカーしていたとかそういうわけでは絶対にない。確かに美少女といえる容姿ではあったがまだ小学生くらいの筈だ、多分。僕にそういう趣味は無い。
何は兎も角僕がぶつかって色々こんがらがっていると彼女が何を言うでもなくいきなり冒頭の言葉を発したのだ。
取り敢えず家に帰ろう。遅いご飯を食べて風呂入ってちゃっちゃと寝よう。そうしよう。
自分の中で計画を立てて家に帰ろうと帰路に着こうとした。…ら。
「…あれ?」
どこだよ。ここ。
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