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プロローグ


沙都子へ


今、あなたが手紙を手にしたのなら
私はもうこの世にはいないのでしょうね。

沙都子、
私はあなたに伝えたい事がたくさんあります。
でも、何から話したらいいのかわからないので
ペンが勝手に紙の上を走るのを
静かに見守っていようと思います。

沙都子、
私はある人を殺し、自分もその後自殺しようと
あなたが生まれる前からずっと考えていました。
その人は、沙都子には分からないだろうけど
良い人でした。とても。
でも私はその人を殺す事を決めていたのです。
なぜなら…


（中略）



沙都子、これが真実です。
お父さんの死、そして私の死。
でもこれはもう、終わった事です。
だからだれも恨まないでね。

あなたを一人にしてごめんなさい。
でも哀しみに負けず、今を懸命に生きなさい。
それがお母さんとお父さんからの
最後の願い。

沙都子、本当にごめんね。


2001年1月

お母さんより
最愛の娘、沙都子へ