ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集開始ダ】 ( No.15 )
- 日時: 2010/01/30 10:21
- 名前: 黒神 恢羅 (ID: uPcLZd7c)
Stage01 「Usually」
2072年。
日本は今や世界随一の科学進歩国となっていた。
生活に不自由はなく、昔話題になっていた地球温暖化も既に科学によって抑えられていた。
しかし、科学が進むと共に人々には異変が見られた。
“能力者の出現”だった。
能力者、つまり人間の持ち得ない力を発揮する者のことである。
特に科学者や医療関係者の子供に多く見られた。
俺、天翔 椋絽(テンショウ ムクロ)もその一人だった。
俺には三歳下の焔(エン)という弟がいる。
まぁ、俺が言うのもなんだが、黒髪美形の随分大人びた弟である。
似ていないのは性格だけでなく、外見もそうだった。
黒髪の焔に比べて俺の髪は色素の薄い黄金色だった。
ここまで似ない兄弟がいるのかと最初は疑ったりしていたが、今じゃ近所では仲良し兄弟と呼ばれるほどの仲良しだったりする。
両親は俺が十歳の時、実験中の事故で亡くなった。
研究者だった両親とはあまり顔を合わせなかったし、正直焔はともかく俺は奴らと仲が良くなかった。
むしろ、奴らが俺を避け、焔を俺から離そうとしていた感じだが。
「兄貴!! 学校、今日早いんだろ? ちょっとは急げよな」
そう急かす可愛い弟の手から俺は弁当を受け取った。
「毎朝ありがとな、焔。じゃ、俺は行ってくるから安静にしとけよ」
今年中学一年生になったばかりの焔は風邪をこじらせ今日は学校を休むことになっていた。
出来れば傍にいてやりたいのだが、残念なことに俺はこれ以上休んでしまうと留年という危機が迫っている。
ベッドにはいった焔を確認し、俺は学校へと足を速めた。
如月高校一年である俺は、自分の教室の扉を勢いよく開けた。
「セ、セーフ?」
時間的にはもう朝のホームルームは始まっている。
だが、教卓に担任である笹田 魁斗(ササダ カイト)の姿は見えなかった。
「良かったー。今日こそは遅刻したらヤベェとこだったんだよな」
そう笑顔を浮かべ自分の席へ向かおうとした時だった。
いきなり頭の上に分厚い辞書が降ってきた。
「いってぇぇ!! 何なんだよ!!」
そう言って振り向くとそこには魁斗の姿があった。
「セーフじゃねぇんだよ、このクソガキ」
そう言って辞書を俺の頭の上から拾うと満足そうに教卓へ戻っていった。
(ア、アイツは忍者かよ!! 気配全く感じなかったぞ)
そう心の中で思っていたら、チョークを構えた魁斗の姿が目に入ったため、俺は考えを消し去った。
こんな普通に幸せな毎日はこれからも続いていくと俺は思っていた。
しかし、そんな俺の思いは無残にも崩れ去る。
2072年1月29日、明日の日付、それは俺にとって地獄の始まりを知らせるものだった。