ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集開始ダ】 ( No.30 )
- 日時: 2010/02/02 17:14
- 名前: 黒神 恢羅 (ID: 1gi9pbMu)
Stage04 「Butterfly」
先生においしい牛丼を奢ってもらい、俺は現在風呂に入っていた。
弟の危機にのんびりしすぎだと言われそうだが、さっきあれだけ焦ったせいか、今はだいぶ落ち着いているのだ。
まあ、先生が傍にいてくれたからでもあるだろう。
とは言っても焔が今どういう状況でどういう目に合っているか考えると一気に不安が押し上げてくる。
俺は嫌な考えを押し沈めるかのように湯船に顔を突っ込んだ。
のぼせても仕方がないと考え、俺は風呂から出て脱衣所にいた。
自分の身体から上がる湯気を眺めながら俺はふと気づく。
自分の左手に赤黒い蝶の模様が浮き上がっていることに。
朝も焔が連れ去られた時もこんな模様はなかった。
「な、なんだよこれ」
心臓の動きが速まる。
これは焔の時と同じだった。
風呂上りで火照っている身体がどんどん冷えていくのを感じる。
俺はいそいで服を着て、先生のいるリビングへ向かった。
リビングを覗けばコーヒーを飲みながら何か考え事をする先生の姿があった。
「先生!!」
俺は先生の近くに寄り、模様の浮かんだ奇妙な左手を見せた。
「……お前、まさか? いや、こいつに限って」
その蝶の模様を見た途端先生のあの間抜け顔が一気に引き締まり、俺の左手を掴んだ。
「せん、せい?」
先生の動揺する姿に俺は不安を感じ、眉を寄せて先生に顔を向けた。
「……焔の情報収集より、まずはお前のその手のほうが先みたいだな」
先生は携帯をポケットから取り出し、電話をかけ始めた。
少しの沈黙の後に先生は話し出す。
「朱雀か? ちょっと見てもらてぇもんがある……。ああ、分かった今から向かう」
先生はそう言って携帯をしまい、俺に告げた。
「俺の知り合いに能力者について詳しい奴がいる。……お前のその模様には見覚えがあってな。今から奴、朱雀……泡沫 朱雀(ウタカタ スザク)のいる場所へ行く、ついて来い」
俺は先生に言われたまま、黒のパーカーを羽織り先生の車に乗り込んだ。
さっきの話からなんとなくは分かった。
これは、きっと能力に関係のある模様。
そして俺の運命を大きく変える模様。
俺には何故かそう思えて仕方なかった。
車が向かうは国立第一研究所。
泡沫 朱雀の所属する“能力者研究施設”——