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Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集中】 05up ( No.37 )
日時: 2010/02/05 19:52
名前: 黒神 恢羅 (ID: n3l0Ur7T)

Stage06 「Eleven」

その後俺は朱雀さんから能力者のこと、それに光を導く者の意味、全てを教えてもらった。

光を導く者、
それは“奇跡の蝶”を埋め込まれた人間のことらしい。
奇跡の蝶というのは今から約百年程前に起こった太平洋戦争、その戦後に突如現れた黄金色に輝く蝶のこと。
黄金色の蝶は日本各地で目撃され、その蝶の舞った地域は驚くほどのスピードで回復を見せた。
蝶は日本全てを回りきった際に自らの身体を滅ぼし、消えていったという。
そしていつしかその蝶は“奇跡の蝶”と呼ばれるようになった。
その奇跡の蝶の羽を埋め込まれた人間が何年かごとに産まれてくる。
それが奇跡の蝶を宿した“光を導く者”という訳だ。

「……で、それが俺ってわけ?」
俺は半信半疑のままそう問う。
俺のその心を読んだのか、朱雀さんは大きくため息を落とし話し始めた。
「信じていないような顔をしているが、今までに俺はお前と同じ痣を持った人間を二人見てきた。その者達の能力値は非常に高かった」
そう言って朱雀さんは俺の手に数枚の資料を渡した。
「それがお前の能力値を計測した結果だ。今までの光を導く者とほぼ同じ能力値の高さだ」
俺はその資料をまじまじと見つめ、観念したかのように机に顔を伏せた。
「はぁぁぁ。何かとんでもないことに俺は関わってしまっている気がする……」
俺の様子を見た朱雀さんが何かを思い出したかのように突発的に話し出した。

「あ、一つ忠告しておこう。お前が光を導く者ならば、命を狙われることになるだろう。今までの者達と同様にな」

その言葉に目を丸くしていると、鍵が一斉にかかるような音が耳に入った。
「何、この音」
俺がそう聞くと「忘れていた」と朱雀さんが頭に手をつきながら面倒そうに言った。
「悪い。話が長くなりすぎたようだ。この研究所は午後七時がくると同時に完全に施錠されるんだ」

つまり、
簡単に言えば、現在ちょうど七時。
イコール俺と先生は今日はもうここから出れない。
という訳だ。

「まじ?」
「ああ。まじ、だ」
長引く話もあるから今日は研究所内にある寮で休んでいけと言われ、俺達は現在朱雀さんの案内のもと寮に向かっていた。
「ここだ」
そう言って開けられた扉の先にはなかなかの広さの部屋があった。
俺達は着替えを渡され、今日は一先ずこの寮でお世話になることにした。

現在2072年1月29日、午後七時三十分。

地獄のゲームの始まりまで後、
十一時間——