ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集中】 05up ( No.41 )
- 日時: 2010/02/07 01:47
- 名前: 黒神 恢羅 (ID: qD0oxfww)
Stage07 「Game Start」
部屋に置いてあるベッドは思ったよりふかふかで俺達はすぐに眠りについた。
夜の暗い雲が去り、朝を知らせる太陽が昇る頃、緊急サイレンの音によって俺は目を覚ました。
「な、なんだぁ!?」
先生もベッドから飛び起き、周りを見渡す。
俺達は寝間着から制服とスーツにそれぞれ着替え、ドアを開けた。
すると施設の中央に何やら大きな人ごみが目に入った。
「先生、行ってみよう」
俺は先生の手を引き、その人ごみに近づいていた。
すると施設の壁に取り付けられている巨大な液晶画面に黒い服を着た青い瞳の男が映っていることに気がついた。
「誰だ。あれ……」
俺がそう呟くとその男は笑顔を浮かべ話し始めた。
『オハヨウ、ミナサン。ハジマルヨ。タノシイ タノシイ ボクラノ ゲーム ガ
ゲームッテイッタッテタダノゲームジャナイヨ。
オソシイ コロシアイ ノゲーム。
オトナモ コドモモ ロウジンモ アカチャンモゼーンブカンケイナイ。
ミキタチハ モウ コノ ゲーム ノコマ トナッタノダカラ』
まるで日本に来たばかりの外国人のような片言なしゃべり方。
周りにいる人達はその言葉にざわめき始めていた。
それを見計らったように男はパチンと指を鳴らした。
『今のは俺の声じゃないよ。俺の大切だった人の声。これを流してゲームを始めろって遺言があったんだ。まぁ、遺言って言葉で分かったと思うけど、死んじゃったんだよねー大切な俺の人。君らに殺されて』
男は笑顔のまま話し続ける。
『だからさぁ。俺、決めたんだよ。大切な人を奪ったこの日本に住む人間、ぜーんぶ壊しちゃおうってね』
男はまるで楽しんでいるのように手をプラプラさせながら話す。
俺は頭の整理が追いつかず、先生と共に呆然としていた。
『あ、ちなみに。この放送は日本全国でお送りしておりまーす。てことは、もちろん君も聞いているよね? 椋絽くん?』
俺は突然自分の名前を呼ばれて一気に正気に戻った。
「なんで。俺の名前を?」
周りの視線が全て俺に集まる。
何が何だかわからない。
頭はもう破裂寸前まで混乱している。
『このゲームはね。君と俺のためのゲーム。全日本人を巻き込んだ、俺らだけのゲームなんだよ』
全日本人を巻き込んだ、俺とお前のゲーム?
俺はその時ふと、朱雀さんの言葉を思い出した。
「お前が光を導く者ならば、命を狙われることになるだろう」
そう言っていた。
もしかして、これがその言葉の意味なのか?
俺の額から嫌な汗がドッと流れ出る。
先生はそんな俺の頭を撫で、言った。
「つまりこれは、椋絽……いや、光を導く者と暗闇の支配者の戦いってことだよ」
また知らない言葉。
暗闇の支配者?
流れ的に考えれば、あの男が能力者だということは間違いない。
そして、俺と敵対する存在だということもだ。
『どう? 魁斗先生の助言でやっと理解できたかな』
男は先生の名前まで知っていた。
アイツは何者なんだ?
いったい何をするつもりなんだ?
……殺し合いのゲームって何なんだよ!!
男は笑う。
まるで混乱し、慌てふためく人間の姿を楽しむように。
始まる。
俺らとアイツらの能力を賭けた戦いが。
『ゲーム、スタート』
2072年1月29日、午前六時。
ゲームのスタートが男の声と共にきられた——