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Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集中】 05up ( No.44 )
日時: 2010/02/07 14:26
名前: 黒神 恢羅 (ID: uPcLZd7c)

Stage08 「Unusual」

男の声と共に窓ガラスが破壊され、施設内を悲鳴が飛び交う。
「次から次へと何なんだよ!!」
俺はそう言って窓へ目を向けた。
そこには少年一人、少女三人が黒いマントを身に纏い立っていた。
「お前は!!」
その内の一人には見覚えがあった。
あの時、俺を裏切り焔を連れ去った……氷花だった。
「……氷花っ」
俺は下唇を強く噛み締め、氷花達を睨みつけた。
「んー。あっ!! ねぇねぇ、あれが光を導く者!? わぁー初めて見たぁ」
氷花の隣に立つ長い髪の少女は大人しそうな容姿とは正反対な無邪気な笑顔でそう言った。
「あ、自己紹介しなきゃ。私は暗闇のサーカス団の団員、有洲 悠(アリス ハルカ)よ。二重人格だから、気を付けてねー」
悠はにこりと笑い、そう言った。
すると別の窓の桟に立つ少年が今度は話し出した。
「次、僕の番ね。僕は寿、京ノ海 寿だよ。悠ちゃんと同じく暗闇のサーカス団の団員」
寿と名乗る紫の瞳のまだ幼い少年は俺に無邪気な笑顔を向けた。
「前の奴らと同じく我は団員の粕我 緩(カスガ ユル)だ」
最後に名乗った派手な着物の少女、緩は一つに結われた髪を揺らし、そう言った。
どの奴らも手には武器が持たれていて、やる気満々なのが見て取れる。
「……全員やばそうな奴らだ」
先生が四人を見つめたままそう呟いた。
朱雀さんは素早く研究員達に避難を言い渡し、パニックを抑えようとしていた。
しかし、パニックが起きているのはここだけではない。
この放送は全国で流れてしまった。
きっと日本各地でここと同じパニックが起きていると思う。

『あ、そう言えば俺の自己紹介がまだだったね。俺は葛木 暁(カツラギ サトル)通称αだよ。そこにいる子達のボス、かな?』
氷花に命令を出していたのはコイツだったのか。
俺は液晶画面からふと目を氷花に向けた。
氷花は一瞬合った目をすぐに逸らし、何やら団員達に話しかけていた。

『もしかしてさー。椋絽くんはまだ目覚めてないのかな?』

その言葉に俺は思わず肩をビクッと震わせた。
『やっぱり? じゃぁさ。氷花、悠、寿、緩、椋絽くんを目覚めさせてあげな。俺からの命令はそれだけ、後お好きにどうぞ』

そう葛木 暁が言い終わると同時に液晶画面の映像は消えた。
「……椋絽、焔君は無事だから。一時的にこっちで預かってるだけ」
氷花はそう一言残すと、大きなサバイバルナイフを構えた。

「手加減する理由は、ない」

氷花のその言葉と共に、四人が一斉に武器を構え飛びかかってくる。

風になびいた氷花の銀色の髪があまりにも
遠く、眩しく見えた——