ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 2072.1.29 【オリキャラ募集中】 09 up ( No.54 )
- 日時: 2010/02/11 14:34
- 名前: 黒神 恢羅 (ID: n3l0Ur7T)
Stage11 「Hate」
あれから一時間ほど経っただろうか。
命に別状はないようだが、椋絽は未だに目を覚まそうとしない。
魁斗はさっきから心配そう椋絽の寝ているベッドの周りをうろうろしている。
……うっとおしい。
「魁斗、少し落ち着いたらどうだ。命は無事だとさっきも言っただろう」
俺はため息をつき、そう言った。
すると奴は「べ、別に心配なんかしてねぇよ!!」そう啖呵を切って椅子に腰掛けた。
……分かりやすい奴。
椅子に座ってからも落ち着きのない魁斗の様子を見て、俺は静かに微笑んだ。
あの魁斗をあれだけ混乱させるなんて、お前はなんて奴だよ。
俺はそっと椋絽の髪に触れた。
「ん……」
すると椋絽は少し目を開け、周りを見渡した。
「あれ……俺……」
急に意識を乗っ取られていたんだ。
多少混乱するのは仕方の無いことだろう。
魁斗は椋絽にあの時のことを話し、説明していた。
その間に茶でも買ってくるか……。
そう思い席を立ち、施設外にある自動販売機へ向かおうとドアを開けた。
「!?」
俺は目の前に広がる光景に目を疑った。
そして静かに魁斗の名を呼んだ。
「んだよ……」
魁斗は椅子から立ち上がり、こっちに向かって歩いてきた。
そしてドアに向こうに目を向け、そして表情を強張らせた。
「なんだよ。この地獄絵図は……」
そう言って壁を蹴った。
そこに広がっていた光景、それは。
血だらけの壁、
臓器の散らばった床、
死に絶えた研究員達……まさにそれは地獄絵図だった。
そして一番奥の壁に残された血文字。
“The Darkness Circus”
暗闇のサーカス団。
あの葛木 暁という男の言っていた言葉を思い出していた。
「暗闇のサーカス団……αの手の者かっ!!」
俺は自分の足元で血の涙を流す部下の顔を見ていられなかった。
そして、心に湧き上がるのは奴らに対する強い“憎しみ”だった。
魁斗も辛そうな表情で死んだ彼らを見つめていた。
「どうしたんだよ……」
俺達の異変に気がついた椋絽がこちらへ寄ってくる。
「見るな!!」
俺はドアへと近づいた椋絽の目を隠した。
しかし、遅かった。
「なん……だよ、これ……」
椋絽の膝がかくりと地面に落ち、目から涙が流れる。
「氷花達の、仕業かよ。こんな事が、これから起こっていくってことかよ!?」
椋絽は涙を流しながら握り締めた拳で床を殴った。
その様子に魁斗は唇を噛み締め、表情を歪めた。
「お前が……なんでこんな辛いこと、体験しなきゃならねぇんだよ」
魁斗の声には強い憎しみが込められていた。
つい昨日までの
あの平和な日々は今終わりを告げた。
始まるは
人の心さえ変えてしまう
憎しみのゲーム。
空に昇った太陽は
今の俺達にはあまりにも眩しすぎて
俺は目を逸らすことすら
出来なかった——