ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 熱血教師と死神様 ( No.23 )
日時: 2010/03/01 14:12
名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)

第09話 

顔が熱い。体の芯が熱い。
なんで私あんなこと言ったんだろ…。
体が火照っている。なんだか『恥ずかしい』。

なんだか、心臓がバクバクしてきた。
高彦の部屋から離れる。夜の風は冷たい。





バックの中から鍵を取り出す。
何もない空中に、紺色の鍵穴が出てくる。
鍵をそれにかざすと、ガチャと音がし、
眼の前にある竹林が『文字化け』して消える。

こうしないと
『鳥居道』に入れないのに、高彦は入れた。
きっと『宗弥』が鍵を閉めるのを忘れて…。


ケータイの着信音が鳴る。
『クロダ ソウヤ』、そう表示されている。
噂をすれば…、私は電話に出た。

『僕だ、宗弥だ。』

「分かってる、何か用?」

私はわざとそっけなく答えた。
宗弥は笑いながら話を続ける。

『…まぁ、お前らしい答えだ。
 別に、ただ退屈だったから電話しただけだ。』

「ふーん…。」

『退屈』…。
私には口実にしか聞こえない。
こいつ、何か隠してる。

「だったら切るわよ、眠いし。」

『待て!!』

必死で私を止めた。
やっぱり、また何か私に説教するつもりか。

『今日の…。
 あの『高彦』という奴は一体何者なんだ?』

来た、この質問来ると思ってた。
まるで親みたい。うざったいなぁ…。

「別に…、私の教師。」

『教師…?
 そんな風には見えないぞ。』

「そんな風?じゃあどんなふうに見える?」

私がそう聞くと、
待ってましたとでも言うように答えた。

『そうだな、危険人物。
 我々の邪魔をする…要注意人物だ。』

宗弥はきっぱりとそう言った。
『要注意人物』…。
なんか、ヤバい気がする。

「…宗弥、お前…高彦に…」

『あぁ、我々の邪魔される前に処分しようと。』

身体が、サっと冷たくなる。
さっきまで火照っていたのがうそのようだ。

「やめろ!高彦は…彼は何もしていない!
 高彦に手を出すな!関係ないだろう、あいつは!」

『邪魔されてからでは遅いのだ。
 どうしてそんなに必死になる?』

「あいつは…。」

どう言えばいいか分からない。
ケータイの向こうで宗弥が
笑っているかと思うと、悔しくてしょうがない。






『もう夜遅いから、切るぞ。
 この話は、また今度だ…。』

自分から電話しておいて…。
言い返せない自分が情けない。

「高彦は、」

『なんだ、あいつがどうした。』

私は深呼吸して『言ってやった』。

「高彦は…私の『信用できる奴』だ。
 お前に手ェだしてもらっちゃ困るんだよ。」

すぐに切った。
宗弥の反論が始まる前に。

胸が痛む。
何だろう、この気持ち。
高彦が来てから、ほとんど毎日…。

でもホントは分かっている。
この気持ちは、何なのか。

でも分かろうとはしなかった。
分かりたくなかった。
だから『信用できる奴』と言った。



私は私に言い訳をした。