ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕等の図書館 〜2話目UP〜 ( No.40 )
- 日時: 2010/10/17 15:36
- 名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: /GuZTiav)
参照300超え記念に、また館長が本を買ってきてくださいました。
今回は、私、ガンコナーが読み聞かせをします。
皆様、どうぞごゆっくりお聞きください。
今回は、ロシアの妖精の話をお聞かせします。
皆様は、ルサルカという妖精を知っていますか?
ルサルカは若くして水死した娘の霊魂で、よく美しい娘の絵で描かれていますが、全てがそうではないのです。
北地方に住むルサルカは水死した時同様の醜い姿ですが、南のルサルカは美しい髪の病弱そうな娘とされています。
今からお話しする話は、北のルサルカの話です。
あるところに、美しい青年がいました。
その青年は誰にでも愛想がよく、心地のよい声で話し、笑顔を振りまいているので、誰にでも好かれました。
青年はある時、森に林檎を取りに行きました。
青年は林檎の木にのぼり、右手に持っている籠がいっぱいになっるまで林檎を取り、木から降りました。
そして、その林檎を持って、湖の近くまで来ました。
湖の近くにある木に腰かけ、休憩をしながら、先ほどもぎ取った林檎を一個手にとり、かじりつきます。
そんな彼を、一人のルサルカが見ていました。
このルサルカは北のルサルカで、北のルサルカは青年をとても気に入っていました。
ですが、岸辺に来られると、青年を湖に引きずりこみ、溺死させてしまいます。
それに、自分の醜い姿を見たら、青年は驚いて逃げてしまうでしょう。
なので、ルサルカはただ青年を見ながら、すすり泣いていました。
「誰か、そこにいるのですか?」
青年が泣き声に気づき、ルサルカに声をかけます。
ルサルカは泣くのをやめて、水中から青年を見つめました。
青年はにこりと笑って、もう一度ルサルカに声をかけます。
「誰か、いるんですか?」
ルサルカは嬉しくなって、返事を返します。
「はい」
短い返事を返します。
このルサルカは姿は醜いのですが、声は南のルサルカに負けず劣らず美しく、澄んでいました。
青年はルサルカが返事を返してくれたので、嬉しくなってまた話しかけます。
「貴方は、何処にいるんですか?」
青年はそう聞きました。
ルサルカは、その質問に困ってしまい、口を閉じました。
青年はルサルカの答えを待ちます。
「湖の中、です」
ルサルカは質問に戸惑いながらも、正直にそう答えます。
青年はその答えを聞き、湖を覗きこみました。
次の瞬間、ルサルカが青年の前に姿を現しました。
乱れた髪に、鉛色の醜い体。そして、凶暴な性格。その時のルサルカは妖精とは言えないほどに醜い姿をしていました。
青年は驚きながらも、ルサルカにまた話しかけようとしました。
しかし、ルサルカが青年を湖の中に凄い力で引きずりこみます。
青年はルサルカに湖の中に沈められても尚、ルサルカに話しかけます。
青年の声を聞くたびに、ルサルカは自分を恨み、涙を流し続けました。
数日後、湖で青年の死体が発見されました。
青年の死体は安らかで、いつものように微笑みを浮かべています。
そして、青年の死体のすぐ下では、青白い光のようなものが入った瓶を大事そうに持っている、ルサルカがいました。
北のルサルカ。容姿が醜く、凶暴な面もありますが、この話では、凶暴な性格ではないように書かれています。
もしかしたら、ルサルカは人を殺すために湖の仲に引き込んでいるのではないのかもしれませんね。
ただ、さびしいから人間を遊びたくなって、でも、自分は陸に上がれないから、人間を水中に引き込んでいるのかもしれません。
まぁ、本能とかもあるのでしょうけどね。
それでは、新しい本が入ったら、また読んで聞かせますので。