ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: されど兎は染まらない ( No.4 )
日時: 2010/01/30 21:47
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: X5qqmbM.)
参照: よいこのイントネーションは芸人のよゐこさんと同じだったりー

story-01【されど説明は上手くない】


 実験都市(シミュレーションシティ)。
 そう名付けられた都市は、日本の首都——東京の地下深くに存在する。
 東京の真下に位置するその都市は、今から約30年前に作られた———政府直属、科学発展の為の実験場である。
 実験場、と聞いて嫌な想像をする者もいるだろうが———ここは違う。地上と何も変わりはない。むしろ、実験都市(シミュレーションシティ)の方が快適な生活ができるであろう。
 ……便利だ、という点においては。

 地下では、実に様々な実験———生ける人間の精神や行動、思想さえも利用した、生ける実験が行われている。
 そのせいか、地上と比べて危険が多いのが、ここの欠点だと言えよう。そのため、それを理由として土地を安く売る物件屋も少なくはない。
 ここでは、多種多様の実験の産物が、人々の間を行き来している。
 例えば、つい最近まで無理だと思われていた、某人気アニメでお馴染みの、人間に付けると飛べるという小型ヘリコプター。
 流石に人間にはまだだが、この都市ではそれを利用した監視カメラなどを製造し、使用している。

 ————そんな都市だが、決して良いことだけだというわけではない。
 ここでは、都市を東西南北と中央で分けている。
 中央では主に、政府が治安や政治についてこの街を監視していて、非常に安全な区域である。
 次に東と西。
 この2つの区域の治安の悪さといったらない。最近では両方ともが別のグループを作り、抗争しているところさえ見られる。
 そして北と南。
 至って温和なこの区域では、警察が睨みを効かせているせいか、あまり争いごとが目立たない。ここでは主に工業発展の研究などをしており、特に北には機械工場が多い。
 このように街は5つのエリアに分けられている。
 
 果たして何故この実験都市(シミュレーションシティ)は治安が悪いのか?
 理由は簡単。警察というものが存在しないからだ。
 ここは地下———しかもただの実験場という名目から、地上からはひどく遠い存在と成りえている。
 そのせいか地上———東京の政府からは、10年前から、一切の補助をされていない。
 
 つまり、ここは無法地帯———いわゆる、悪の溜り場のようになっているといっても過言ではない。
 
 だがしかし。
 この実験都市(シミュレーションシティ)には———およそ7年前程から、“守護神”と呼ばれる、強き者たちが現れるようになった。

 中央には警察まがいの刑事が。
 北には鼠が。
 東には吸血鬼が。
 南には正義が。
 西には情報屋が。
 
 そしてその実験都市(シミュレーションシティ)は————今日も。
 いつも、常に。
 
 綺麗に悪に染まりつつある。