ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: フレーザーの友達 ( No.2 )
- 日時: 2010/02/13 13:36
- 名前: バハムート (ID: 3Oig7PbJ)
日曜日
細い裏道を歩いていた少年は突然足を止めた。
「・・・・・・あの〜・・・・・・邪魔、なんですけど」
声をかけられた大男は少年を睨む。
「・・・・・・・・・・・・はぁ〜」
少年はため息をつくと諦めて引き返した。
彼の家はマンション。
ここを突っ切れば表通りを通るより時間が短縮できる。
しかし、道をおっかなそうな男の人にふさがれているため、
違う道を通ることにしたのだが・・・・・・
少年は、突然聞こえた悲鳴に振り返った。
そこにいたのは、さっきの大男。
が、様子がおかしい。
「あの〜、どうかしましたか?」
その声に男は振り向こうとしたが、動きが止まった。
それから、凍ってしまったように動かない。
「何?瞬間冷凍?」
少年は男のところに戻り、バシバシ男の頭をたたく。
が、反応は無い。
そのとき。
「そいつはもう目覚めないぞ」
上から声が降ってきた。
「ひゃっ!」
変な悲鳴を上げる少年。
「そいつは眠りに着いた。だからもう目覚めない。」
「普通に寝たんだったら、普通に目が覚めると思うんだけど?」
見えない誰かに向かって少年は反論する。
「つまり、その眠りは普通の眠りではない、と言うことだ。」
ひらっと上から大きな毛のかたまりが落ちてきた。
「分かるか、この理屈?」
「・・・・・・まぁ、なんとなく分かるよ・・・・・・多分」
毛のかたまりには一人の女の子が座っていた。
銀髪に、スミレの様な紫の目。
少年は動揺する様子も見せず、ちょっと笑いかける。
少女はそれを無表情のまま受け止めると、口を開いた。
「ここはどこだ?」
「・・・・・・地球」
「もっと範囲を絞れ」
「・・・・・・日本」
「お前は、私をバカにしているのか?」
「特にそういうつもりは無い・・・・・・よ?」
少女は足を組み、腕を組んで、少年を睨みつける。
当の本人は気にせず、動かない男の観察を始めた。
「この人、なんで固まっちゃったのさ?」
「私が眠りに着かせたのだ。強制的に、な」
「ふーん・・・・・あっ!」
突然、男の足元からイバラが生え始めた。
それはぐるぐる男に巻きついて、やがて覆い隠す。
少年は目をキラキラさせた。
「これなにっ?」
「見てのとおり、イバラだ」
「これも君がやったのっ?」
少女は、少し頷いて、
「そうだ」
誇らしげに笑った。
「お前、怖くないのか?」
「全然」
「お前もああなるのかも知れないのだぞ?」
少年は、少し考えるような素振り。
「・・・・・・君の気まぐれでああなっちゃうんだったら、怖がってもどうにもならないよね」
「・・・・・・はははっ!」
「なに?なにが面白いのさ」
「お前が笑わせたんだろうが、少年!」
そういうと、少女は毛玉から飛び降りた。
「私はフレーザー。お前の名を教えろ、少年」