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- Re: Vampire Tear−孤独の君主− ( No.1 )
- 日時: 2010/02/02 00:17
- 名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
Episode1‐漆黒塗れし王の誕生‐
戦歴20XX年。
世界は二つに分断され、日々争いに追われていた。
その理由は、人間と同等の知能を持つ<新種>の出現。
人間とは異なる存在ながらも、人間とよく似た外見をしている、高度な戦闘力を持つ生物。
人々は、その生物を<混血種>と呼んだ。
人間と、獣の血が混ざっていることからということと、
これ以上ない、皮肉を込めての言葉だった。
そんな世界を統べるのは、幼き女帝陛下。
だが、最近になって混血種にも、混血種を統べる王が出現した。
限りなく外見が人間に似ていて、驚異の戦闘能力を誇る者、<Blood King>。
両者に許された選択は二つ。
生きるか、死ぬか。
己の種族を守り、生きるために、両者は戦う。
果たして、世界はどちらに軍配を上げるのか・・・。
「なぁなぁキング。もうそろそろ動いてもええんちゃうの?」
暗闇で動く、三つの存在。
「私も同感だ。
これ以上、人間に好き勝手にさせておくのはどうかと思うが・・・」
二つの声は、ある一つの存在に集められる。
「・・・焦るな。これは、我が同胞達の命を賭けた戦いになる。
慎重に事を進めなければ、思いもよらぬところで足元を掬われることになるぞ」
絶対的な威厳をもち、有無を言わさぬ視線を浴びせる。
「了解!キングに従うんがウチラの使命やからね。キングがそう言うんやったら、もう少し様子見しよか」
そう言って、一つ、そこから姿を消す。
「私も今の役目に戻るとするよ。我がキングの御命令どおりに・・・」
また、一つの存在が姿を消し、その場には一つの存在だけが残った。
「・・・そう、これは全てを賭けた戦い。生きるか死ぬか、それ以外の選択は無い」
スッと前を見据える。
「我が<Blood King>の名に懸けて、必ず我が手に勝利を掴む」
そうして、王は姿を消す。
その場に残ったのは、虚無と閑静、世界に誓った誓約だけだった。