ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Vampire Tear-孤独の君主-【オリキャラ募集中!】 ( No.16 )
- 日時: 2010/02/08 17:49
- 名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
龍さんのオリキャラ登場です。詳しくは>>11
Episode9‐赤き波紋を呼ぶ男‐
翌日、ジャックとリザは日本の北地区に派遣されていた。
北地区でアリエスタ軍の兵士の惨殺体が見つかったとの報告を受けたからだ。
『・・・気まずい・・・』ジャックは心の中で溜め息を吐いた。
昨日、リザと別れてからまともに話をしていない。ギスギスした雰囲気が流れる。
『謝るべきなのは分かってる!!分かってるんだけど・・・』
そんな簡単に謝れたら苦労しないわ!!と心の中で葛藤していると・・・。
「別に、謝ってくれなくていいですからね」リザが顔を合わせずに言った。
「!!な、何でそのことを!!」 「・・・顔に書いてありますよ。『謝りたい!』って」
呆れたように言ったリザに反論できない。確かに俺は顔に出やすい方だと思う。
「・・・私は、私の思ったことを言っただけです。だから、貴方に謝罪されるようなことは無いんです」
どこか遠くを見つめるリザにそう言われ、高ぶっていた心が少し、落ち着いた気がした。
「わかった。じゃあ謝らない」 「そうしてください。謝られても面倒くさいだけなので」
本音はそれか!!とか叫びながら、ジャックとリザは北地区に向かうのであった。
「・・・酷いな・・・」 「至る所に刺し傷と切り傷が有りますね」
見つかった惨殺体の検死をを始めた二人。原型を辛うじて留めたソレは異臭を放っている。
「鋭利な刃物で刺されていますね。刃渡りは三十㎝程かと」冷静に分析していくリザ。
「やはり混血種か・・・」 「・・・そう考えた方が良いですね」
混血種。そう判断が下された時、轟音とともに北地区の軍基地が勢い良く揺れた。
ドォォォォォォォォ・・・・・・ン。
「っな、何だ!?」 「大変ですジャック様!!混血種の集団が攻めてきます!!」
また集団?!そう思いながらジャックとリザは軍基地から駆け出す。
「あははははははははは!!殺せ殺せ!!人間は皆殺しにしろ!!」
集団の先頭に立つ一人の男。
鴉の濡れ羽のような黒髪に禍々しく輝く紅い瞳が一際目立って見える。
「止まれ!!ここは日本北地区、アリエスタ軍基地領域内だ!!混血種の立ち入りは一切禁止している!」
ジャック率いる北地区軍は戦闘態勢に入る。こっちは約三百人、あちらは約数名。勝てる。
「・・・君達、人間?」先頭の男は問う。
「そうだ。アリエスタ軍兵だ」ジャックが強めに答える。
「そうなんだ・・・」男は呟き、俯く。退くか?ジャックがそう思った瞬間、男はにやりと笑った。
「なら、死んでもらおうか」男の声と同時に、後ろの混血種が一斉に動き出す。
遅れを取ったアリエスタ軍は、攻めの体制に入られた。
ジャックは、目の前のその男に弾を撃ち込む。けれど男は簡単にかわして見せる。
「なあ、人間君。俺は人間が大好きなんだ」唐突にそんなことを言ってきた。
弾を撃ち込むものの、男には一発だって当たりはしない。
「ジャック様!!補助に入ります!!」そう言った味方の何人かが男に襲いかかる。
「・・・無駄だってことがわからないのか?」
男は目にもとまらぬ速さで胸元から無数のナイフを取り出し、襲いかかった全員に投げつける。
「ガハッ!!!!」全てのナイフは急所を貫き、味方は全員地に伏せた。
「愚かで脆弱で、儚い生き物だよね〜人間は」などと言いながら、地に伏せた者たちの頭を踏みつぶす。
ぐちゅり、と嫌な音をたて、止め処なく血があふれる。
「・・・君も死んでみるかい?人間君」男がそう言って行き成りナイフを投げてきた。
『しまった!!間に合わない・・・!!』
ジャックは目をギュッと瞑った。が、いくら経っても来るべき衝撃が来ない。
そっと目を開けると、リザが剣で全てのナイフを弾いていた。
「・・・へぇ」男は興味深そうに笑い、リザをじろじろと見る。
「面白いなぁ・・・君は」そう言っている男に、不意打ちで弾を撃ち込む。
かわし損ねたのだろう。男の右腕部から血がダラダラと流れている。
「・・・・やってくれるねぇ、人間君」男はそう言ってジャック達から距離をとる。
「俺の名前は樹亜。夜霧 樹亜。Blood King直属の兵士、<B.B.>の一人だよ」
B.B.?何だソレは・・・。
「じゃあ男の方、次に会ったら君絶対殺すから!!覚えておいてよ」
樹亜はにこっと笑い、今度はリザの方を見る。
「・・・人間は好きだけど、君は嫌いだな・・・」
樹亜の顔は深刻なものになり、すぐに微笑みを浮かべる。
「ま、いいか。今日の目的は達成できたし。退くことにするよ」
そう言って、樹亜は指笛を吹く。
ピィィィィィィィィィィィィィ・・・・!!
その音を聞き、混血種は一斉にその場から退いていく。
「じゃあバイバイ、愚直な人間君」樹亜は手を振り、もの凄い速さで走って行った。
「な、何だったんだ・・・」 「まだ良いじゃないですか。私は嫌いって言われたんですよ」
確かに。そう納得してジャックは考える。
「<B.B.>・・・か。一体何なんだ・・・?」
ジャックは聞きなれない言葉に頭をかしげる。それを知ってか知らずか、リザは小さく囁く。
「・・・黒い、血」
その言葉に込められた真意、それは一体何なのか。