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Re: Vampire Tear-孤独の君主-【オリキャラ募集中!】 ( No.27 )
日時: 2010/02/19 23:14
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

ららァさんのオリキャラ登場です。詳しくは>>18


Episode11‐残酷なる少女は裁きの女王‐


「・・・最近、囚人の混血種の数がかなり減少しているのですが・・・・」
リザが書類を片手にジャックに問いかける。
・・・何か怒気を感じるのは気のせいだろうか。
「そんな筈はない。死刑執行予定なんて入っていないし、ましてや脱走なんて・・・」
ジャックは言いかけて止める。
「気にしすぎかとは思いますが、居なくなった混血種達は全員、同じ人物から尋問の申請が来ています」
「・・・それ、奔璃 鼎(ほんり かなえ)って奴じゃないか・・・?」
「!・・・御存知でしたか。はい、奔璃 鼎から尋問申請が提出され、行方知れずとなっています」
ジャックは深く眉間に皺を寄せ、リザに告げる。
「リザ!奔璃 鼎の所に行くぞ」 「了解です」


皇宮の奥の奥の、質素な扉。
ジャックは軽く咳払いをしてノックをした。
少しの間静寂が続き、やがてゆっくりと扉が開く。
「・・・・何か用?こんな朝早くから来て何もなかったらただじゃおかないからね」
朝早く・・・?今は絶賛太陽が真上に昇っている時間だ。
ということは何か。この少女は今の今まで眠っていたということか?
「奔璃 鼎だな」 「・・・そうだけど」
「貴様が尋問した混血種達の行方が知れない。何処へやったんだ」
ジャックの質問に、鼎は大きな瞳をぱちくり、とさせて、まるで三日月のように口を弧に描いた。
「ああ、アイツラ?普通に尋問してたんだけどね?ちょっと熱が入っちゃってさぁ。・・・死んじゃった」
悪びれもせずにニコリと笑う鼎。
「・・・アリエスタの法律では、裁かれた混血種に手出しは禁止されていたはずでは?」
リザが拳を作りながら鼎に問う。・・・かなり怒っているようだ。
そういえば混血種の話をしたときからリザは機嫌が悪かった。何故だろう・・・。
「うん。でもあくまでも<尋問>だからねぇ?」
しょうがないじゃん?と言った鼎に切れたのか、リザが腰元にさしてあった剣を抜いて襲いかかった。
「ちょっ、リザ!!!」
ジャックの制止も聞かずに振り下ろす。
「お姉さんちょっとカルシウム足りないんじゃない?」
鼎はそう言って、肩に手をまわして何かを振り上げる。
ガキィ・・・・・・・ン、と鈍い音が辺りに響く。
鼎が手にしているのは、彼女に不釣り合いなほど巨大な鎌。
リザは舌打ちしながら押していく。
「・・・アリエスタに身を置くのなら、法に従うのが道理というものではないのですか」
口調は冷静だが、かなりキているのは手に取るようにわかる。
「法律、法律って、ガチガチに縛られて、・・・ここも自由じゃないねぇ〜・・・。
 ・・・どうして自由に生きられないんだろうね」
鼎が意味深な言葉を吐いてリザの腹を蹴り上げる。
「っ!!!」 「・・・もういい?こっちは昨日も<尋問>してたから眠いんだけど」
その言葉にリザは激しく反応した。鼎は面白そうににまにま笑う。
「バイバイお姉さんとお兄さん?」
焦らすようにゆっくりと扉を閉めて行った。
「・・・大丈夫か?リザ」
ジャックの差し伸べた手をリザは払いのけて一人で立ち上がる。
「・・・大っきらい・・・」
その言葉は、扉の向こうに居る裁きの女王に向けられているのだろうか。
それとも・・・・・・・?