ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 逃亡中事件簿 アンケート中(オリキャラ募集中)追加質問有り ( No.120 )
- 日時: 2010/03/13 20:19
- 名前: nanasi (ID: lerfPl9x)
二章 その参拾球 生きてた の?
正確には腕をつかまれた。
そして、一気に引っ張られた。
ミィちゃんのような躊躇は無くものすごく一方的に腕がもげそうになるぐらい強く引っ張られた。
「ねぇ、捕まえてどうするの。っていうか離して! 」
私は強く友江に言う。
「家に連れ戻すのよ」
ただ単純にそう答えた。顔を見たいと思ったが、友江は背後に立っているので顔は見えない。
「あんなとこ、もう家じゃない」
そう私はぶっきらぼうに言って、友江の手から無理やり腕を引き剥がし走り出した
が
すぐにまた反対の手を捕まれた。
「逃げないでよ……。逃げないことで、捕まる事で親友の危機を助けられるのよ? 」
そう、優しげな声色で友江は言った。
「お願い! 」
今度は必死そうに言った。
しょうがない。
どうせ逃げられそうも無いんだから話ぐらいは聞いてやるか。
「なぜ。友江を助けられるの? 」
そう私は聞いてみた。
「聞いてくれる?実は、私の家に今一千万円の借金があるのよ。父がギャンブルで大損して作っちゃったのよ。
そこで私たちはどうしていいのかもわからずただ絶望していた。
そんなときに、あなたの父が私たちにこんな話しを持ちかけたの。
私の娘を捕まえてこの目の前に連れてきたら一千万円をやろう。
と」
「えっ……」
あなたの父が私たちにこんな話しを持ちかけた?
なんで
ありえるはずが無い
あの父が
生きている?
「何驚いてんのよ。親友。じゃあ行くよ!」
明るく友江は言ったが今の私の耳にはそんな言葉届いていなかった。
「生きてたの? 本物だったの?」
私は、小声で聞く。自分に。友江に。
「ええ。あれは絶対に本物よ。ちゃんと生きてた。それがどうしたの?」
友江はどうでもよさそうに言う。
生きてる の?
死んでない の?
本物 なの?
殺してなかった の?
殺せなかった の?
殺しきれなかった の?