ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: veritable ( No.3 )
- 日時: 2010/02/08 20:09
- 名前: right (ID: zuIQnuvt)
- 参照: Let's go !! byレオン
phase1.[始まりは必然的に訪れるもの]
サンジェイの賑わう表通り『018』。子供がきゃあきゃあと走り回り、いつどこにぶつかってしまうか、転んでしまうかと心配なる。それを注意する親たち。客を呼び込む、店の主人。通りを包むハンバーガーの匂い。
しかし、それは表面上の世界。
裏では、常に殺しや盗み、子供の誘拐、人身売買、クスリの取引が行われている。しかも、表通りのすぐ近く。誰も近づかない、裏通り『019』。サツでも対応できないほどの大量の犯罪が、今現在でも行われている。
これが、サンジェイの現状だ。
全ては『サイレント』が引き起こしたことだ。二年前までは、平和だった町。
『あの時』を思い出すだけでも、自分自身にも、『サイレント』にも腹が立つ。
吸っていたタバコを靴で思い切り踏んでやった。
表通りにでかでかと建つ、『クロム=レディガー』の本部。それほど目立った色をしてなく、でかでかといっても七階建てで、いわゆる、普通の企業が使っているような普通のビルだ。
その玄関ドアを開け、二階の広間へ行く。
意外にキレイにしてある。そりゃそうだ。部下がやってくれているからだ。ありがたい。
その広間のソファに座っていたのはゼストだ。ヤツの好きなフランス産の高級ワインがテーブルに置いてある。
昼間っから酒かよ。でも、酒を昼から飲むということは、彼が機嫌のいいときだという印である。
「よっ」
「…レオンか。お前も飲むか?」
上機嫌な声。
暇だし、少しぐらいはいいよな。
「じゃ、飲ませていただきますよ」
テーブルにいくつか用意してあったワイングラスをひとつ手に取り、注いでもらう。
キレイな、濃い紫色だ。
「んで、計画のほうは進んでるぅ?ゼストの兄貴♪」
彼をからかうのかのように、質問する。彼はふ、と鼻で笑った。まるでそれが遊びかのように。
誰にも知られてはいけない、計画。
さて、何でしょうねぇ。
これはまだ、始まりにしかすぎない。
続く