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Re:      *死神と神様*      ( No.12 )
日時: 2010/02/14 13:40
名前: ゆぅ (ID: xLWpZ9qW)

#04


「誰だ…?」

「……」


森の奥から声がした。
低いから男の声だと思う。
ゆっくり視線を向けるとそこには——悪魔がいた。

見られちゃった。
でも、至って冷静な僕がいた。


「お前、死神か」

「…うん」

「そこに血塗れで死んでいるのは……あぁ、この世界の幼き神様か」

「…うん」

「俺はラビ、ラビ・シェルヴェルだ。見ての通り絶滅寸前の悪魔さ。で、お前は?」

「僕は…ラウド・ヴェリア」

「死神のくせにえらい良い名じゃねぇか」


皮肉めいた声音を僕に向ける。
ども、その言葉は雨の音で僕にはかすかな声しか届かなかった。


「お前、神を殺したんだなぁ…愚かで哀れな死神君♪」

「……」

「そんなお前を俺が手伝ってやるよ」

「??」

「その神をお前の傍から離れない方法を」

「手伝ってくれるの?」

「あぁ、そうだ。今のお前なら俺の願いを叶えられそうだしな」

「悪魔さんにも願いがあるの?」

「そうだ」


悪魔さんが俺にゆっくり近づいて来る。
僕の目の前で止ま、僕に囁いた。
そう、悪魔の囁きを——





「俺が居るから、お前は俺の指示に従っていればいい」





その言葉はあまりにも毒々しかった。
でも、僕にはその言葉が蜜の様。
喉から手が出るくらいに欲しい甘い甘い蜜。

悪魔と死神。
まるで童話のように逢わせられたみたい。
悪魔はそっと嘲笑う。
仮面の下に隠した醜い真実を見透かして。
死神の行為を玩具の様に——