ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生神の唄。 ( No.15 )
日時: 2010/02/18 19:31
名前: 飛羽 ◆8sQ7Zb2MTg (ID: udG14aXH)

=3= お客様

                                                                                                        コンコンッ——
                                                                                                                                小さくノックする音がした。                                                                                                        すると、灰色の猫がピクッと耳を立てた。                                                                                                        そして、ドアを開ける。もちろん、あの猫が。                                                                                                        お客様がキョトンっとした表情をした。                                                                                                        そして、何故か泣き出してしまった。しかも、なんとも大きな声で叫んでいた。
                                                                                                                          「ここは何処なのおぉぉ! 」
                                                                                                                        そんな叫び声を聞いても、優しく微笑む少女が居た。                                                                                                        ……猫の方は気絶しそうだったが。                                                                                                        そんな中お客様の人……中学生くらいの女の子は、一人と一匹に向かって言った。
                                                                                                                             「あの! 入ってもいいですか? 」
                                                                                                                              最初は、二人ともキョトンとしていたが少女は「えぇ」と言ってうなずいた。                                                                                                        ——女の子の話を聞くと、三つ分かることがあった。                                                                                                        まず一つ目は、彼女は交通事故で死んだこと。なんと、誰かに押されたらしい。                                                                                                        二つ目は、気がついたらこのお屋敷の前に倒れていたということ。まぁ、少女と猫にとっては、必然といえば必然なのだが。                                                                                                        三つ目は、彼女は虐めを受けていたということ。腕に切り傷・痣があった。
                                                                                     「……お客様の名前、聞いてないですよ? 柚姉さま」
                                                                                                    少女の服を軽く引っ張りながら、猫が言った。                                                                                                        ちなみに、お客様の女の子は目を丸くして驚いていた。                                                                                                        それでも、質問に答えようとするのだが、その前に少女に言われてしまった。
                                                                                                    「貴方は……谷石 真希(やいし まき)さんですね? 」
                                                                                                                    少女はファイルを見ながら、平然と言った。