ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生神の唄。 ( No.18 )
- 日時: 2010/02/20 11:08
- 名前: 飛羽 ◆8sQ7Zb2MTg (ID: udG14aXH)
=4= 仕返し
少女がパタン……と静かにファイルを閉じたとき、真希が質問した。
「あの……。お名前聞いてもいいですか? 」 「あ、はい。私は珠夢ですー。で、柚姉さまは」 「柚羽里。桜宮 柚羽里(おうみや ゆうり)です。よろしくね」
猫、少女の順で答えた。柚羽里は真希に向かって優しく微笑むと、すぐに真剣な顔になった。 真希もつられて真剣な顔になった。だが、顔とは裏腹に心では何を言い出すのか少しワクワクしていた。 しかし柚羽里はすぐに、いつもの優しい顔に戻った。 その優しい顔でとんでもないことを聞いてきた。
「仕返し……したい? 」 「! し、仕返し!? 」
真希は誰に? 何のために!? と混乱していたが、すぐに理解できた。 ——あの、虐めていた奴らにだ—— そう分かると、心が軽くなった気がしたのだ。
「いいんですか? 本当にやっちゃいますよ? 」 「えぇ。此処はね?生きていた間に深く傷を負った人たちが来る場所なの。だから、 できるだけ傷を治せるようにサポートするのが私たちの仕事。それに、貴方たちの運命を決めるのも私たちなの」 「運命を決める? ……面白いですね! じゃあ、私の運命は『仕返ししてハッピーエンド』ってことで! ところで……寝る場所ってどこに? 」 「ああ、それならね。地図をあげるから、安心して? 」
そう言うと、デスクから折りたたんでいる紙を出して、真希に渡した。 真希は一安心したようで、「明日、また来ます! 」と言って帰っていった。 そして、後ろで珠夢が怪しく微笑んでいたことなど、気にも留めなかっただろう……。