ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: A dense fog ( No.2 )
日時: 2010/02/19 21:04
名前: 紅葉 ◆U7Z6hyBlbU (ID: kS1s3PtF)


 そこには何も変わらない、清々しい青の世界が佇んでいるだけ。それと同様に‘死んだ’雲も揺れていた。どこか寂しそうに、名残を残して……流れて行く。
 仰向けになったのは失敗だった。と、自分を叱咤し横になる。今の俺の精神環境には、この景色は辛い。例えるなら、暗い気分の時に、明るい人間と接している状態と似ている。
 明るさに中和されて、暗さが無くなれば儲けものだが、時に、光は闇の存在感を増す事もある。街灯と街灯の境目のように……。青空に蹴落とされたあの月が、良い例だ。
 ーーーーと、誤解を招く前に言って置く。別にここ最近、俺に辛い出来事が起こった訳じゃない。借りたCDを無くしたとか、友達と絶交したとか、小さい事から大きな事も交えて、不憫な経験を、最近してはいない。むしろ好調な位だ。……だが。
 必ずしも、良い出来事が心の明るさに比例するなんて、目処はない。あくまで、パーセント的数値で、比例する、が多いだけだ。今までの話は、一個人の考えという事で、脳の欠片にでも仕舞っておいてもらうと嬉しい。
 灰色の金網を視界に捉えながら、俺は軽く体を丸めて、目を瞑る。鬱々考え込む趣味とは御免だ。そこまで暗くなるつもりはない。