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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: A dense fog ( No.3 )
- 日時: 2010/02/21 22:42
- 名前: 紅葉 ◆U7Z6hyBlbU (ID: kS1s3PtF)
まどろむ意識。景色の断片と化した太陽も、今では、俺の睡眠欲求を補佐する存在へと代わっていた。冷たいアスファルトも……もう馴染んだ。
屋上の扉が開いた音を、不愉快な鉄同士の擦れる音を子守歌に、俺の意識は蚊帳の外へーーーー
見渡せば、そこは生い茂る樹林の山。乾きを知らない野草に雄々しい大木。動物たちの鳴き声。
夢? 擬認と同時に景色が変わった。
灰色に彩られた広場。理不尽と虚勢の感覚に、取り付くられた世界。夢ということは、すぐにわかる。
だが闇雲なぐらい安心出来た。というより仲間意識を感じた。この世界に……。
いつの間にか安堵感を覚えていた俺は、傍にあった灰色のベンチに横たわる。
夢の中でまで眠る程、俺の睡眠欲は傲慢ではないが、この世界は屋上よりも良いアクセントになりそうだ。
そう思いながら、頭をベンチに頭を付ける一歩手前、今まで経験した事のない柔らかさに包まれた。
同時に揺れる銀色の糸。黒い布地。それは、この場に、自分以外の存在を確認していなかった俺に、呆然の二文字を与えるには確実過ぎた。
「招待面の方の膝に寝ころぶのは関心しませんよ?」
「ぇ?」
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