ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.21 )
- 日時: 2010/05/02 19:25
- 名前: 金糸雀 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
† 第一章 「黒神の創った者」 第八話 †
「・・・決着を、つけましょうか」
シャルナが左腕で鎌を構えながら低く小さな声でそう言って飛躍する。
___________キイイィィン!!!!!!
刃と刃が交じり合って、甲高い音が周囲を震わせる。
窓がその震えに耐えられず、凄まじい音と共に割れる。
白神はそれをシャルナ家の屋根から静かな怒りと共に見下ろす。
「さっさと消せばいいものを・・・!」
白神にとっては、人間であっても中身は黒神なのでさっさと消えて欲しいという願いがある。
黒神は、白神を裏切った神。そんな存在を何時までもあり続けてはならなかった。
しかし、白神のそのままの能力では倒す事は__________不可能。
黒神のほうが力は強い。
いくら努力しようとも、神だとしても、それは変えられぬ運命だった。
だから、魅入る。
そして、エクソシストを創る。
で、今に至っている。
魅入る代わりにその能力を人間共に差し出す。
それを、使って黒神を人間が倒す。
エクソシストは、白神によって仕方なく創られる人形にすぎない。
ただし、今、白神の見下ろす先にいる青年は違う。
クローン
黒神の複製。
最初は、白神も驚いた。
そして、存在を消したくなった。
実際、消そうと思った。何度も。ずっと。多分、今も少し。ただ、パートナー。
「手、貸そうか?」
少し手間取っている青年に白神は棒読みでそう言う。
シャルナには重傷を負わせているとは言え、所詮は黒神。そう簡単にくたばりはしない。
青年は、肩で息をしながらも、はっきりとした口調でこう言う。
「いや、多分大丈夫だ。お前の手は借りないさ」
「・・・本当かよ」
「・・・・・・俺が危なくなったら、自主的に手を貸せ」
「お前ねぇ・・・」
少し考えて、手を貸せという青年に白神は溜息混じりに言う。
だが、一人では黒神を倒せない。間違いなく殺されてしまうだろう。
「何時まで話してるんですか」
青年が振り向くとそこにはシャルナが立っていた。鎌を振り上げて一気に下ろす。
青年が飛び退くと、さっきまで立っていた場所には亀裂が入り、黒炎が青年を襲う。
さきほどと同じように、青年は破壊刀で炎を切り裂きはらう。
「無駄だよ」
「・・・それはどうかしら?」
「————!!」
はらった炎は辺りを燃えつくしていく。しかし、黒炎は消えない。
つまり、青年の周りは黒炎だらけであり逃げ場は少ない。
炎に囲まれていた。
「・・・仕方ないね」
小さく、青年は呟いた。
そして、シャルナに向かって言う。
「四大元素って知ってる?」
「______え?」
いきなり何を言い出すのかと、シャルナは一瞬戸惑う。
「四大元素って、水、火、土、風、の事ですよね。知ってますよ、それぐらい」
「じゃあ、四精霊は?」
「それも知ってます。確か、四大元素のそれぞれの元素を精霊と擬人観的に妖精としたものの総称」
「ご名答」
そして、青年は白神に向かってこう言った。
「『四大元素の四精霊達よ、その名と力を俺に差し出してくれ』」
白神は答える。
「『では、貴様は黒神の名においてそれを破壊しろ』」
そして、もう一度青年は言う。
「『いいだろう』」
続く