ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.3 )
- 日時: 2010/04/18 14:55
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
† 第一章 「黒神の創った者」 第二話 †
「あ、あ、あぁ・・・・・・」
悲鳴をあげた後、シャルナは言葉にならない声を出していた。
部屋一面に広がる真紅のものを前に彼女は瞳に涙を浮かべながら後ずさりする。
しかし、黒いマントを羽織った人物は手を翳し開いていた扉を閉めた。
「あっ!」
逃げ道を失い彼女は声を上げ恐る恐るマントを羽織った人物を見てみた。
その人物は大きいマントを羽織り、大きい鎌を持っていた。
顔なんて部屋が暗いため分からない。
ただ、怖い。
彼女はそう思いながらも何故か冷静を保っていた。
「あ、貴方は誰ですの?」
声は自分でも分かるくらい震えていた。
しかし、相手が誰かという事が知りたかった。
相手は彼女の方に体を向けると低い声で言った。
「我は、黒神。貴様の願いを叶えよう」
「黒神・・・・・・?」
「そう、黒神。悪を縄張りに持つ神とでも言おうか」
悪。
それは、母親と家政婦を殺す事を意味したのだろうか。
瞳に溜まった涙を服で拭い黒神と名乗る者を真っ直ぐ見つめ彼女は言う。
「貴方は何故お母様と家政婦さんを殺したのですか?」
「それは、我の本望」
「では、お父様は何故ここにいないのですか?」
家政婦はずっと家にいるが、母親は仕事のはずだった。
なのにここにいるという事は黒神とやらがここに連れてきたということ。
だったら、父親もいてもおかしくはない。彼女はそう思った。
「貴様は、この二人だけを大切に思ってるのだろう?」
「なっ! ・・・・・・そんな事はありません!!」
彼女は少しだけ考えてしまっていた。
本当に父親を愛していたか。あんまり家に帰ってこない父親を。
あまり話していない父親を好きだったかと言えるのか。
「嘘だな。本当のことでも人間は否定をする。そこが面白い」
顔は分からないが、黒神は笑っていた。というより、そう見えた。
そして、何秒か経った後黒神は静かに告げた。
「我はお前を気に入った。だから、我に従うが良い」
「________はい」
続く