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それは、夏休みの出来事だった。
夏休みと言えばプールや西瓜割りなどで
忙しい中、ある4人家族の一家も過ごしていた。
だが、ある日の夏、妹の鈴が夜中に泣き、

「ベランダで髪の長い女の人がシンジ兄ちゃんの前とか叫んでくるの！」

と言った。さすがに夢だろう、そう思って両親は
女の人はいないよ、と言って眠りにつかせた。
だが、しばらくするとまた同じ事を言って泣き出す。

「これは、何かの予知かな？」

父親は不思議に思ってベランダを見たが、何も
居るはずがない。やっぱり夢かなと思って寝た。
次の日も、また次の日も鈴は泣くのだった。
さすがに不安に思った両親は、いつもベランダを
警戒していたが、何もいない。

「う〜ん、何なんだろう？」

「ねぇ、貴方、もしかして……」

そう。母親は気づいてしまったのだ。
それから、その一家は逃げるようにそのマンション
を引っ越した。