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Re: 〜ZERO〜4話更新♪ ( No.15 )
日時: 2010/03/01 21:12
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

5話  『クルーエル・ステージ』

B棟3階 第1理科室

駿、友里、孝明、道夫、幸介は武器になる物を探すために理科室へ来ていた。
「にしてもよ、駿はいいよな〜ぁ。武器要らないし。」
幸介が嫌みに言うと、駿は左手から炎を出した。
友里は駿のその姿を見て疑問に思う。
「熱くないの?」
「熱さは感じないんだ。とにかく、不思議な感じする・・・・」
駿は炎を消すと、周りを見渡す。
幸介と道夫は塩酸の小瓶4つ、孝明はマッチと硫酸の小瓶3つ。
友里は何も持たず、女子という理由から駿の後ろにつくことになった。
「それじゃあ、どうする?B棟にあの女がいるかどうかも分かんねえし・・・」
幸介が4人に言うと、道夫が手をポンとし何かを閃いた。
「教室に戻らないか・・・?」
その意見に、全員は一瞬考えたが、すぐに賛同した。
3−1の教室にいるブルーを倒せば、何か分かるかもしれない。
5人は顔を合わせて頷き、理科室を出ようとした。
その時だった。

「・・・ブルー達が失敗したか」

何の前触れもなく、腰に日本刀を所持する男性が理科室の出入り口に立っていた。
「誰だ!?」
「その前に、お前らに聞きたいことがいくつかある。ハーシェルは逃げたか?」
男性の言葉に、駿たちの脳裏に髪を靡かせ逃げるハーシェルの姿が思い浮かぶ。
「あの女は逃げたぜ。」
「そうか。お前らは3-1の生徒だろ?ブルーにガリレオも失敗したか・・・。」
「ガリレオとかいう奴なら・・・・」
幸介が駿の能力を言おうとすると、孝明と友里が止めた。
幸介はハッとし、男性を睨みつける。
「・・・・?まあいい、お前らは計画に害をもたらす可能性がある。ここで殺そう。」
男性はそう言うと、腰から日本刀を取り出す。
「俺はテロリスト集団‘プラネット’の副リーダー、クルーエル。」
クルーエルは日本刀を振り上げ、駿に狙いを定めた。
しかし、駿は両手を出し真っ赤に燃える炎を出す。
「な!?」
クルーエルは突然の出来事に唖然とし、炎の中へと消えた。
「よっしゃ!!」
5人はガッツポーズをし、笑顔を見せた。
その瞬間!!

「お前だけが能力者じゃないんだよ」

クルーエルはいつの間にか駿の後ろに回り、そのまま背中を蹴り飛ばす。
駿は床に派手に倒れ、ほかの4人はクルーエルがなぜ生きているのか驚いていた。
「俺も能力者だ。能力はなんだと思う・・?」
駿はその質問の答えがすぐに分かった。
「凍結・・・・」
クルーエルはその言葉を聞いてニヤリと笑う。
「正解だ♪」
クルーエルは床に片手を置くと、その場所から床が凍り始めた。
「みんな気をつけろ!!」
友里と道夫、幸介は察知し机の上に逃げた。
が、孝明は反応に遅れて足が凍り始める。
「あ・・・!!そんな!!」
孝明の体下半身、上半身、頭部と凍りつき、孝明はそのまま動かなくなった。
「嘘!!」
「お、おい!!冗談だろ!?」
クルーエルは不気味に笑い、氷漬けになった孝明の頭に刀を刺す。
すると、孝明はそのまま無残に崩れ去った。
4人はその光景を見て唖然とする。
「さて、勝てるかな?」
駿は怒りぶちまけ、クルーエルに攻撃を始める。
友里は何かを思いついたのか、どこかへ走りだす。
「大熊君は駿の援護して!!原田君は私とあることを!!」
原田は二人が戦っている中を潜り抜け、友里に近づく。
「今から、・・・・して。」
「は?それして何になる?」
「いいから。そのあとはすぐに教室から出てよ!!」
友里はそう言うと、幸介とある行動を始めた。
クルーエルと駿が戦う中、道夫がクルーエルにタックルする。
クルーエルは突然の攻撃に何の防御もできず、そのまま地床に倒れる。
「駿!!能力は使わないで!!」
友里の言葉で駿は一瞬動きが止まる。
「駿!!大熊君!!教室の外に!!」
友里の言葉で、全員は理科室から廊下に飛び出す。
「なんか、臭わないか・・・?」
駿は廊下の空気を吸って異変に気付く。
「駿!!今よ!!」
駿は友里の言葉通り、片手から理科室に向かって炎を出した。
クルーエルは体勢を戻し、こちらに向かってくる。
その時だった。

ボォォォォォォォン!!!!!!!!

理科室は一瞬で炎に包まれ、轟音とともに窓ガラスが割れて爆発した。
4人が廊下に伏せると同時に、火災報知機が鳴る。
あちこちから生徒の悲鳴も聞こえ、4人は顔を合わせてその場から走り去った。

**********

一方、駿たちが逃げた理科室前・・・

燃える理科室の中から、刀を杖代わりに上半身に火傷を負ったクルーエルが現れた。
「こ、このままで・・・終わらす・・・ものか・・・・・」
クルーエルはそう言うと、その場から千鳥足で逃げ去った。