ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ZERO〜 ( No.7 )
- 日時: 2010/02/26 17:59
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
2話 『狙われた学校』
翌日
駿は弟と別れると、学校へと登校した。
時刻は8時前。無論、学校はまだ静かだ。
早い理由は、駿は高校に向けて受験勉強中だから。
家では集中できないから、いつもこの時間に登校している。
駿は職員室まで3−1のカギを取りに行くと、そのまま教室に向かおうとした。
その時だった。
「琴庭!!相変わらず早いな!!」
後ろを振り向くと、駿のクラスの担任の本郷武蔵がいた。
体育教師である彼は相変わらずジャージ姿である。
「おはようございます。」
「勉強か?熱心だな。頑張れよ〜。」
本郷はそう言うと、そのまま職員室へとはいって行った。
駿は本郷の態度に笑い、そのまま教室へと向かった。
**********
萩原中学校。この学校は創立10年の結構新しい学校だ。
校舎はA棟、B棟に分かれており、どちらも4階建て。
3階には2つの棟をつなぐ渡り廊下がある。
職員室等や3年の校舎はA棟。B棟は1,2年の校舎。
駿は4階の一番奥、3−1のカギを開けると教室に入った。
窓をすべてあけると、気持ちがいい風が入る。
「涼しい。」
駿は運動場側の一番後ろの席にかばんを置く。
景色はいいし、風は気持ちいいし、最高の席だ。
・・・ガタッ
「え?」
駿の耳に、何かが動いた音がした。
しかし、教室を見渡すが、何もない。
「気のせいかな?」
駿はそう言うと、さっそく勉強に取り掛かった。
時は経ち20分後、教室にはすでにほとんどの生徒が座っていた。
どの生徒も仲良く話しており、駿のように勉強はしていない。
「おはよ。駿。」
「おはよう、友里。」
目の前の席に春宮友里が座る。
ショートヘアーでボーイッシュの友里はクラス一の女子。
成績も良く、運動神経も良い。
その分、先生からも期待の眼で見られている。
「勉強大変だね。」
「あぁ。公立に行かないと、真人に迷惑かけるからな。」
「両親の命日はいつ?いっしょに墓参り行くよ。」
駿はその言葉で動かしていた手を止める。
「いいよ。真人と二人で行くから。」
「そ、そう・・・・」
友里は少し悲しそうな顔をすると、前を向いた。
前の教卓のにはいつの間にか本郷が座っていた。
「おーす!ホームルーム始めるぞ!」
そう言うと、学級委員の号令とともに最悪の1日が始まった。
**********
一方、中学校正門前
スーツを着た男性を先頭に、後ろには6人の男女がバラバラに並んでいる。
「それでは、いまから侵入する。学校内にはすで仲間3人がいるからな。後、ここからはコードネームで呼びあえ。」
男がそう言うと、6人は頷く。
すると、その中の一人が男性に尋ねる。
「ミスターⅩ。俺は当初の計画通り3−1の教室に向かえばいいんだよね?」
ミスターⅩはその言葉にうなずく。
「ガリレオとハーシェルは3−1へ。そのほかの者は職員を制圧しろ。なるべく静かにな。いくぞ!!」
ミスターⅩはそう言うと、A棟へと足を進めた。
**********
ホームルームを終えた3−1は1時限目の用意を始めた。
「駿、一時限目何?」
「国語だよ。資料集持ってきた?」
「・・・忘れちゃった。」
友里は冷や汗を流す。
この時期は受験勉強のシーズンなので、忘れ物をすると先生がうるさいほど怒る。
「最悪ぅ〜。」
「ははっ。」
駿は用意をすると、窓から外を見た。
今日も快晴。道路にはサラリーマンや車が忙しそうに動いている。
「平和だな〜ぁ。」
駿がつぶやいたその時!!
「動くなぁ!!!!!」
突如、後ろの掃除箱から謎の男性がショットガン両手に現れた。
漫画やドラマなら、生徒が叫び泣きまわるが、突然の出来事に全員が硬直していた。
「へぇ。えらいな。そのまま静かにしていれば危害は加えない。」
男はそう言うと、教室の前に立ち、全員を見る。
「おい。そこの女の子、ちょっと来い。」
男が指を指したのは学級委員の要晴香。
晴香は震えながら男の傍に行く。
「もし、妙な行動や不審な動きがあれば、この子を殺す。」
男は晴香を自分の目の前に座らせ、いつでも撃てるようにスタンバイした。
いまだに全員は硬直したままだ。
駿も唖然とその光景を見ている。
「・・・・真人。」
駿は弟の名を呟くと、青い空を見た。
そして、この日を境に駿や駿の周りの人間の人生が変わろうとしていた_____