ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: _地球崩壊_ ( No.3 )
- 日時: 2010/02/27 10:38
- 名前: 流都 ◆CwIDAY6e/I (ID: 8w1jss8J)
第一話『自然戦争』
戦争。
この世にはあってならないこと。
なのに大人の人間はばかげたことをしている。
戦争はもうしない、と決めたのに、また戦争をしている。
それも“自然”を奪うために————。
「賢人!」
「うわっ!」
俺は、聞きなれた人に背中を押され、転びそうになる。
その人物の名前は新井美雪。
俺の幼馴染。
「賢人のその顔からすると…また変な考え事してたわね」
「そうだよー。 お前には簡単に見抜けられるか」
「何年幼馴染やってんのさねぇ!」
すると、美雪はさっきまでの明るい顔とはうってかわって、暗い顔つきになった。
「また…、“自然戦争”のことについて、考えてたんでしょ……?」
「あ…、うん……。 どうしても頭から離れないというか……」
美雪は小さくため息をする。
「ほんとに、自然、自然、自然! 大人は何考えてんだろうね。 そんなに欲しかったらまず、他の国の人と平和を結んでよ!…と言いたくなるわ。 平和から自然を生み出すとかさ〜……」
「そうだね…。 でも子供の俺らには…」
「何も出来ないっ……」
美雪は悔しそうな顔つきで言った。
子供は何も出来ない。
それが現実だった。
大人は好き勝手に—好き勝手というか、ちゃんと考えてるんだろうけど—戦争をする。
本当に何考えてるんだろう。
「さっ、今日も稼ぐため、山菜とりにいきましょっ。 ていうかもう“山菜”って名前じゃないけど……。
野の野菜だから普通に“野菜”だよね……」
美雪はバケツを持って歩いていった。
俺らが住んでるこの村は、子供までも働く……。
今は子供が働くというのは普通のこと。
その子供達がやる仕事は山菜取り。
調理できる山菜をとってくる。
でも、もうこの辺りに山なんてないし、美雪の言うとおり、ここには野しかないし、野でとれる野菜だから“野菜”だよな。
ってそのまんまか。
でもその野菜も限られてるから、採れない日もある。
本当に子供達にとってはきつい仕事。
これをさせたのも…、自分勝手な大人の人間。
山菜を採れなくしてるのも、大人。
自然が無くっているのも…
大人。