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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Jack the Ripper ( No.15 )
- 日時: 2010/03/06 11:51
- 名前: 白魔女 (ID: Eda/8EBL)
——Ⅱ——
2
張り紙を張り終えた蜜柑達は、チャビ探しに専念した。とは言え、そう簡単に猫が見つかるなんて、全く思ってもいなかったが、こうして見つからないと、やっぱり少し、腹が立つ。最初は帰りたい気持ちがありありとわかる徹にもイライラしたが、無気力になった徹を見るのもイライラする。それを言ったら、相変わらずチャビの話ばかりの由愛もだ。蜜柑は石ころを蹴りながらそう考えていた。
「なあ、宮澤」
小声で、徹が蜜柑に話しかけた。
「何よ」
ツンケンした様子で蜜柑は返事する。
「本当に、そのチャビとかいう猫、見つかると思うか?」
「思ってるわけ、ないじゃない」
ズバリ、本心を言った。
「はぁ……。俺、宿題やってさっさと家で遊びたいんだが……」
「無理だね」
「だよな」
はぁ……と二人は同時にため息をついた。
「どうせさ。あんな飼い主に愛想つかして逃げちまったんだぜ。今頃、もっと優しい飼い主のところで、悠々とえさもらってるんだよ。だからさ、ここで俺達がそいつ見つけちまって、笠山に渡しちまったら、ちとその猫可哀相じゃあねぇか?」
「何か言ったー!?」
草を掻き分けていた由愛が、こっちに向かって叫んだ。徹が「なんでもねーよー!」と叫び返す。
「そう思うんなら、探してる振りして、見つけても黙っとくんだね。つまりは結局、帰してもらえないんだよ」
「あぁ。そうだな」
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