ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Jack the Ripper ☆ジャック・ザ・リッパー☆ ( No.26 )
日時: 2010/03/06 11:52
名前: 白魔女 (ID: Eda/8EBL)


——Ⅱ——





 蜜柑たちがチャビを探して二時間。



 もちろんのごとく、見つからなかった。当然の結果だろう。もう、とっくのとうに他の飼い主とイチャイチャしてるんだよ、だから諦めろよ。蜜柑は必死に由愛に念じ続けたが、その思いが伝わるわけもなかった。徹も同じように、ぶつぶつ言いながら由愛を遠めで見ている。はたから見れば、「アブナイ人」そのものだ。

 その間、蜜柑は鳥の糞が頭に落ちてきたり、車にぶつかりかけたり、チャビかと思って抱き上げた野良猫に顔を引っかかれるやらで、散々だった。——今日の占いで、私最下位だったな。ラッキーパーソンの「大きなカッター」持ってればよかった……いや、私がこの状態でカッターなんか持っていたら、ろくな事にならないだろう。最悪、死人が出たら、あの占いやってるテレビ局に苦情を入れよう。もし、私が死ぬ羽目にでもなったなら、呪おう。——そうこう考えていると、蜜柑は犬の糞を踏んでしまった。
 徹も蜜柑も、諦めムードが漂っている中、由愛は黙々と——いや、チャビの話を延々と話がなら——チャビの捜索を続けていた。

 ひょっとして、チャビが見つかるまで、帰してもらえないのかもしれない。夜になっても、次の日になっても——そこまでいくわけがない、とお考えの人もいるだろうが、由愛は平然とそれをやってのける奴だ。小学校の頃も、由愛の落とした鍵を探された記憶がある。私って、由愛の友達というより、パシリなのではないだろうか——? 蜜柑はそこまで考えて、考えるのをやめた。