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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Jack the Ripper ☆ジャック・ザ・リッパー☆ ( No.28 )
- 日時: 2010/03/07 16:54
- 名前: 白魔女 (ID: aAyW2lUS)
——Ⅳ——夜の訪れと共に
「いなかったね」
「ああ」
「うん」
蜜柑のセリフに、二人共うわの空だった。
あの後、『この百円玉をどうするか会議』が開かれ、結局交番に渡しに行った。お巡りはいぶかしげに蜜柑たちを見たが、張り紙を張っていた事がバレ、大目玉を食らった。学校に知らされなかったのが不幸中の幸いだ。
とはいえ、結局猫は見つからなかった。しかし、由愛には悪いが、二人ともこれで帰れるんじゃないかと思うと、喜ばずにはいられなかった。
「ねえ。由愛。もう帰ろうよ。こんなに暗いんじゃ、見つかるものも見つからないし」
徹が後ろで激しく頭を振る。
「う……でも、チャビが」
街灯がチカチカ点滅し始め、パッとついた。赤っぽかった空はもう暗く、星が輝いている。あたたかい陽気も、夜になるにつれ、肌寒くなってきた。風が吹いてくる。
「あっ」
風に吹かれ、由愛の帽子が飛ばされた。かなり強い風だったのか、数メートル先に飛ばされる。由愛は疲れた足で帽子を拾いに行った。
「俺達、もう帰れないのかな……」
「さぁ。でも、由愛は帰す気なさあそうだよ」
「あーあ……早く夕飯つくらねぇといけねぇのになぁ……」
蜜柑たちはしばらくそこで愚痴っていたが、なかなか由愛は帰ってこなかった。ようやく帰ってきたかと思うと、由愛は血相を変えてこちらに走ってきた。
「……!」
由愛はパニックになっていた。口をパクパクさせる。
「由愛。落ち着いて。何があったの?」
「い……い……」
「い?」
「いた!」
「何が?」
「何がじゃないわよ! チャビがいたのよ!!」
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