ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Jack the Ripper ( No.3 )
日時: 2010/03/07 17:27
名前: 白魔女 (ID: aAyW2lUS)



第一章・——消えた猫——


——Ⅰ——猫探し



 風浜町は、どこにでもある普通の町だった。そこにある風浜中は、また、どこにでもある中学校だった。
 そんな静かな町を襲ったのは、小さな小さな出来事。


「え? 猫?」
 すっとんきょんな声を出したのは、風浜中一年生、宮澤 蜜柑だ。


「そうなの! あたしの家のチャビが、いなくなっちゃったのよぅ」
 蜜柑の机をバンバンと叩きながら、笠山 由愛は蜜柑に怒鳴り散らす。

「そ、そんなこと、言われてもねぇ」
「チャビちゃん可愛いから、きっとさらわれちゃったんだわ。あぁ、可哀相なチャビ!」
「あの——……」
「あぁあ! チャビ! 今頃、おなかをすかせて、あたしを待っているわ!」


 蜜柑は面倒くさくなって、カバンの中に教科書をつめる作業を進めた。


「だ・か・ら!」
 由愛は蜜柑の顔を無理やり前に向かせる。


「手伝って、くれるよね? 蜜柑」

 そしてまた、蜜柑は半ば強制的に首を縦に振らされたのだった。