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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Jack the Ripper …死体発見… ( No.30 )
- 日時: 2010/03/16 19:36
- 名前: 白魔女 (ID: h2MT2xjq)
第二章・——事件は突然に——
——Ⅰ——悲劇の朝
「う……ん……」
蜜柑はうめきながら目を覚ました。頭ががんがんして、痛い。
しばらくぬくぬくとする布団の中に包まっていたが、先ほどのことを思い出して、飛び起きた。
「蜜柑!?」
隣には、蜜柑の母がいた。母に抱きつかれ、泣かれる蜜柑だが、頭の中ではあの死体のこと思い出していた——いや、思い出してしまっていた。
「うぅっ」
人の死体など、もちろんのこと見たこともない蜜柑は、口をうっと抑えた。吐き気がする。原型をとどめていない人の腹から、血が、そして——あれは——。
隣に用意してあった桶が、幸いだった。胃のものが逆流して、口の中に胃酸の味がする。吐き終えても、やはり気分が悪かった。あれはきっと内臓だ。人の腹から内臓が飛び出ていた。
思い出せば思い出すほど、吐き気は止まらなかった。ようやく止まったのは、死体を細部まで思い出してしまった後だ。
「蜜柑、大丈夫?」
母の言葉に、蜜柑はよわよわしくうなずいた。
「お母さん……ここは一体」
「病院よ。由愛ちゃんの悲鳴で近くにいた人が救急車を呼んだの。あなた達三人とも、意識を失っていたわ。よほど怖かったのね」
怖かったなんて、生易しいものじゃない。蜜柑はそう言い返そうよしたが、その気力さえなかった。
「休みなさい。休めばきっと忘れるわ」
母がそういうのを聞きながらすでに蜜柑はもう眠ってしまっていた。しかし、あの死体は脳裏に焼きついてしまった。
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