ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Jack the Ripper …死体発見… ( No.33 )
日時: 2010/03/16 19:40
名前: 白魔女 (ID: h2MT2xjq)


——Ⅱ——恐怖の傷跡





 蜜柑が目を覚ますと、まわりは真っ暗だった。

 それとなく、あたりを見回すと、誰かがこっちに走り寄って来ていた。蜜柑も、その人のほうへ駆け寄る。が、蜜柑はハッとして足を止めた。

 その人は、あの死体だった。腹から内臓が飛び出ている。しかし、顔だけはにんまりを笑っていた。

 蜜柑は恐ろしくなって逃げた。あらん限りの力を振り絞って。それでも死体はどんどんこっちに近づいてきた。走っても走っても。死体は笑いながらはらわたを揺らし、やってくる。

「いや……。 来ないでっ、来ないで——……」

「蜜柑」

「来ないで——っ!!」

 ドンッ、と何かを突き飛ばした。はっとして見ると、それは母だった。

「あぁ、お母さんゴメンっ」

「大丈夫よ、母さんは。それより、あなたの方こそ、顔が真っ青だわ。ずっとうわ言を呟いていたし」

「ごめん……」

 母はふっと笑うと、蜜柑の布団を掛けなおした。

「朝ごはん、持って来るわね」

「あ……うん」