ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Jack the Ripper ( No.40 )
日時: 2010/03/27 12:14
名前: 白魔女 (ID: N1KBaRht)


——Ⅱ——




「宮澤……」


 午前。蜜柑は調子がよくなったのを見計らって、徹の病室に足を運んだ。


「ざ、ざまぁねぇよな。ははっ」
 引きつりながらも笑顔で自分を迎えてくれる徹に、蜜柑はほっとした。

「死体に足引っ掛けて、転ぶなんて、そうそうねぇ体験が出来てよかったぜ」
 強がりもいつも通りだ。ただ、ぎこちないだけで。

「午後。警察の事情聴取なんだって。その時まで、またね」

「おう。警察の前で泣いたりするんじゃねぇぞー」

「星野じゃあるまいし、しないよ」

「俺だって、泣かねぇよ」

「どうだか」

 いつも通りの会話だった。皮肉の言い合いっこ。ただ、状況がいつもと違うだけで。


 大丈夫。すぐまたいつも通りになれる。少しの辛抱だから。蜜柑はそう自分に言い聞かせた。