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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 0 。 ( No.1 )
- 日時: 2010/02/28 17:29
- 名前: 音 ◆fpcvJMKcxg (ID: f7lRTJvX)
…白い堕天使?
あり得ないでしょう。そんなの。堕ちた天使は黒か白と決まっている。
——それなら、
君の目の前にいる、僕は何なんだ。
0 。
影は白くて、翼は黒い。
「普通」は逆なのだろうが、それなら僕は普通じゃないんだな。
「白」は灰を見下すし、「灰」は白を軽蔑している。それで争いが生まれ、望まれないモノが生まれて、それを壊して、その繰り返し。
それで生まれたのが、僕と「黒い天使」。こちらは完全に黒くなっていて、もう灰なんて色は無くなっている。それを皆は、不思議と呼ぶ。
「不思議」なものは全然全く不思議なんかじゃなくて、そもそも不思議なんて言うものは存在しないから定義の仕様がない。
全ては偶然に基づいた仕掛けで、偶然は必然の確率が低くなっただけだから、これもどうしようもない。
どうやら今、目の前にいる人間はそれを分かっているのか分かっていないのか、僕を見た瞬間に僕の存在を否定するような言葉を漏らした。
「…ありえない」
僕は慣れていたからいいが、それをあの黒い天使に言ったらどうなるか分からない。本来「連れていく」べきの生贄を彼は殺してしまうかもしれない。
もう生贄を人間から渡される必要は無くなったのだが、それに気づいていない人々は、尚も神に生贄を渡す。
…ああ、堂々巡りだ。埒が明かない。もうやめよう。
そうして僕は、漸く僕を見つめていた白い人間の存在を初めて正確に認識した。
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